駿河湾と富士を眺める宿で太宰の世界に浸る

●安田屋旅館[静岡/湯の花温泉]

 駿河湾の奥深くに位置する静かな入江、三津浜(みとはま)の湯の花温泉にある明治20年(1887年)創業の温泉旅館。

 木造建築の松棟と月棟は、国の登録有形文化財に指定されていて趣がある。障子や欄間などの意匠が美しい客室は全15室。太宰治が滞在し、『斜陽』を執筆したことで知られる「月見草」には現在も宿泊することができる。

 敷地内に設けられた「伊豆文庫」では、太宰を中心に、伊豆にゆかりのある作家の資料や作品を自由に閲覧できるのも嬉しい。駿河湾の新鮮な海の幸も味わえる静かな宿。

ゆかりの文豪

太宰治


太宰は昭和22年2月上旬から半月ほど「月見草」に滞在して『斜陽』の第一章、第二章を執筆した。書き捨てた紙の量が従業員の話題に。

安田屋旅館

所在地 静岡県沼津市内浦三津19
電話番号 055-943-2121
宿泊料金
◆1室1名利用時の1名最低料金 (1名利用は平日のみ)33,000円~
◆1室2名利用時の1名最低料金 (平日)19,800円~(休前日)22,000円~(すべて入湯税別)
ひとり対応 通年(平日のみ)
客室数 15室
食事 夕:食事処/朝:食事処
チェックイン 14:00/チェックアウト 10:00
アクセス 伊豆箱根鉄道伊豆長岡駅より伊豆箱根バスで伊豆三津シーパラダイス下車すぐ
http://www.mitoyasudaya.com/
●Wi-Fiあり

穏やかで優美な空間 建築・意匠自慢の宿

●おちあいろう[静岡/天城湯ヶ島温泉]

 創業は明治7年(1874年)、天城・修善寺の雄大な山々に抱かれ、本谷川と猫越川が合流する狩野川のほとりに佇むことから、宿の常連だった山岡鉄舟によりこの名が付けられたという温泉旅館。

 和の設いとモダンなデザインが融合する14の客室のなかには、源氏物語にちなんだ名前がつけられているものも。

 敷地内の文化財を巡るツアーに参加して、国の有形文化財に登録されている宿の建築美を深く知るのもいいだろう。

 文豪の蔵書などが展示された読書室で、のんびりと物語の世界に浸るのも、文豪ゆかりの宿ならではの楽しみ方だ。近年、宿のリニューアルとともに新設された2つのサウナは、サウナ愛好家の間でも話題だそうだ。

ゆかりの文豪

川端康成
田山花袋
島崎藤村
梶井基次郎
etc.


●湯冷ましつぶやき

旧幕臣の山岡鉄舟により2本の川が合流する畔に位置することから名付けられた「おちあいろう」。その川の目の前で風や水の音を感じながら読書をすることができる。

おちあいろう

所在地 静岡県伊豆市湯ヶ島1887-1
電話番号 0558-85-0014
宿泊料金
◆1室1名利用時の1名最低料金 (平日)90,850円~(休前日)110,850円~
◆1室2名利用時の1名最低料金 (平日)62,000円~(休前日)82,000円~(すべてオールインクルーシブ)
ひとり対応 通年
客室数 14室
食事 夕:夕食事処(個室あり)/朝:食事処(個室あり)
チェックイン 15:00/チェックアウト 11:00
アクセス 伊豆箱根鉄道修善寺駅より送迎あり(要予約)
https://www.ochiairo.co.jp/
●Wi-Fiあり

2022.09.12(月)
Text=Motoko Saito

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※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

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