宿にすべてを任せて、その土地の最高の料理を堪能する。そんな贅沢な温泉旅行はいかがですか。
“温泉のプロ”が日本全国から選んだ、その土地の美食が味わえる、とっておきのグルメ温泉宿8軒をご紹介。
豊かな食材に恵まれた加賀ならではの和懐石
●べにや無何有[石川/山代温泉]

「すべての客室に24時間楽しめる露天風呂があったり、夜食に細巻が出てきたりと、ディテールの満足感がありながら、宿全体に意思と美意識が貫かれているのがすばらしい」と、宿を知り尽くしたホテルプロデューサーの龍崎翔子さんが絶賛する名宿。
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広々としたテラスを備えたダイニング「懐石方林」では、奥山・里山・湖沼・日本海それぞれの豊かな食材に恵まれた加賀ならではの和懐石が供される。

たとえば夏の献立の一品、前肴の「毛蟹琥珀ゼリー」は、味わい深く目にも美しく、これぞ口福といったひと皿。

器には九谷焼や輪島塗・山中塗といった伝統工芸品が使われ、加賀の食文化の奥深さが伝わってくる。
地の魚を使った刺身や焼き物と並んで常連客にファンが多いのが、炊き立て熱々を味わう土鍋ご飯。夏には加賀野菜の一種、金時草と梅肉のご飯が膳を彩り、その爽やかな味わいは、まさに滋味。箸が止まらなくなること必至だ。

●湯冷ましつぶやき
「べにや無何有」は、白山信仰の聖地であった薬師山の高台に立っている。お寺のような空間で温泉と薬草を用いた施術を行うスパも人気。
べにや無何有
所在地 石川県加賀市山代温泉55-1-3
電話番号 0761-77-1340
宿泊料金
◆1室1名利用時の1名最低料金 1泊2食付き (1名利用は平日のみ)70,180円~(すべて入湯税別)
◆1室2名利用時の1名最低料金 1泊2食付き (平日)45,980円~(休前日)52,030円~(すべて入湯税別)
客室数 16室
食事 夕:食事処/朝:食事処
チェックイン 15:00/チェックアウト 11:00
アクセス JR加賀温泉駅より送迎あり(要予約)
https://mukayu.com/
●Wi-Fiあり
●推薦してくれたのは……
龍崎翔子さん[ホテルプロデューサー]
2022.06.28(火)
Text=Noriko Wada〈松本本箱〉,Kaori Minetsuki〈酒の宿 玉城屋〉,Yuko Harigae(giraffe)
Photographs=Atsushi Hashimoto〈松本本箱、酒の宿 玉城屋〉
CREA 2022年夏号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。