島崎藤村のお墨付き、宍道湖の魅力を満喫

●松江宍道湖畔 文人ゆかりの宿 皆美館[島根/松江しんじ湖温泉]

 宍道湖畔に佇む明治21年(1888年)創業の老舗旅館。「客のこころになりて亭主せよ」という松江藩七代目藩主・松平不昧公からの言葉を家訓として客をもてなす、多くの文人に愛されてきた宿だ。

 なかでも昭和2年(1927年)7月に、息子とともに滞在した島崎藤村は、松江の風光や皆美館で過ごした様子を記した『山陰土産』に「これはいい宿だ」と書き残していることで知られる。

 島崎藤村親子が宿泊した客室「老松」は「藤村の間」として当時の遺構を受け継ぎ、現在も宿泊可能。文豪たちも親しんだ、松江しんじ湖温泉はもちろん、文豪たちの作品を展示している1階「いにしえラウンジ古都里」も満喫したい。

ゆかりの文豪

芥川龍之介
岡本太郎
内田百閒
佐藤春夫
志賀直哉
etc.

松江宍道湖畔 文人ゆかりの宿 皆美館

所在地 島根県松江市末次本町14
電話番号 0852-21-5131
宿泊料金
◆1室1名利用時の1名最低料金 (平日)25,200円~(休前日)29,050円~
◆1室2名利用時の1名最低料金 (平日)21,300円~(休前日)24,600円~(すべてサ・入湯税別)
ひとり対応 通年
客室数 16室
食事 夕:食事処(個室あり)/朝:食事処
チェックイン 14:00(15:00の部屋あり)/チェックアウト 11:00
アクセス JR松江駅よりタクシーで約10分
https://www.minami-g.co.jp/minamikan/
●Wi-Fiあり

新潟最古の温泉宿で『雪国』の世界に浸る

●雪国の宿 高半[新潟/越後湯沢温泉]

 女将の先祖が、洞窟から湧き出る温泉を偶然発見したのは900余年前のこと。溶き卵を流し入れたような湯花が咲くことから「卵の湯」の別名も持ち、現在も変わらない豊富な湯量を誇る。

 遠くに三国山脈、谷川連峰や湯沢の街並みなどを眺める客室が自慢の宿は、川端康成が昭和9年~12年にかけて5回訪れ、小説『雪国』を執筆した宿として知られる。

 川端康成の作品や資料が並ぶ文学資料館や、この宿で撮影も行われたという映画『雪国』を上映するシアターもあり、川端康成の世界に浸れる、ファン垂涎の宿。また、釜炊きの南魚沼産コシヒカリや八海山の伏流水で育てられる川魚や日本海の魚など、雪国の味も堪能できる。

ゆかりの文豪

川端康成
北原白秋
etc.


川端康成が『雪国』を執筆した「かすみの間」は当時のまま保存され見学可能。与謝野鉄幹・晶子、北原白秋夫妻もこの部屋で歌を詠んだ。

雪国の宿 高半

所在地 新潟県南魚沼郡湯沢町湯沢923
電話番号 025-784-3333
宿泊料金
◆1室利用時の1名最低料金 1名利用、2名利用、平日、休前日、すべて14,300円~(入湯税別)
ひとり対応 通年
客室数 34室
食事 夕:食事処・部屋/朝:食事処・部屋
チェックイン 15:00/チェックアウト 10:00
アクセス JR越後湯沢駅より送迎あり
http://www.takahan.co.jp/
●Wi-Fiあり

●雪国の宿 高半を推薦してくれたのは……

山崎まゆみさん[温泉エッセイスト]

2022.09.12(月)
Text=Motoko Saito

CREA 2022年夏号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

いま、自分に戻る旅。 楽しいひとり温泉

CREA 2022年夏号

いま、自分に戻る旅。 楽しいひとり温泉

特別定価950円

「CREA」2022年夏号の特集は「ひとり温泉」です。日本全国の選りすぐりのひとり温泉宿をご紹介。口福な「お取り寄せ別冊」もついた保存版です。