●だらしない浮気男を演じた『猫は逃げた』
――最新主演作『猫は逃げた』では、今泉力哉監督の下、離婚寸前の週刊誌記者・町田広重を演じられます。
広重の最初の印象は、割とどこにでもいそうなキャラクターだと思いました。理想はあるけど思い通りにはならず、仕事も生活も行き詰まっているというか。役作りに関しては「現場に行ってから、吸収して作っていこう」という部分が多かったですね。人との関わりの中で見えてくると思ったので。今泉監督の作品を観ると、映画作りにとても真心を感じます。今泉監督とご一緒できたことは、幸せだなと思います。
――本作では、どんな新しい毎熊さんが見られると思いますか?
自分の意思がないわけではないけど、強くは決められない、でも優しくて。そういうキャラクターは今まで演じたことがなかったので、自分でも新鮮であり、難しかったです。簡単に見どころを紹介できないのが、この作品の魅力でもあります。繊細な空気のやり取りを感じてほしいです。
●目標は、目で語ることのできる俳優
――今後の目標や展望を教えてください。
国や年代性別、ステージを限らずにたくさんの人と出会い、作品を作りたいですし、自分でも想像がつかないところまで行けたら楽しそうです。表情や声色は筋肉で操ることができますが、目の奥は操作できないんですよね。特に映像では、その人が今まで何をどういうふうに見て感じてきたか、が全部バレてしまう気がして。一歩一歩を大事に歩いて行けたらいいなと思います。
毎熊克哉(まいぐま・かつや)
1987年3月28日生まれ。広島県出身。2016年、主演映画『ケンとカズ』で、「毎日映画コンクール」スポニチグランプリ新人賞などを受賞。その後、『北の桜守』『万引き家族』『空飛ぶタイヤ』『孤狼の血 LEVEL2』『マイ・ダディ』などの話題作に出演する。
映画『猫は逃げた』
週刊誌記者の広重(毎熊克哉)は同僚の真実子(手島実優)と浮気中で、漫画家の妻・亜子(山本奈衣瑠)も担当編集者の松山(井之脇 海)と体の関係を持っており、夫婦関係は冷え切っていた。そんな離婚間近の2人は、飼い猫のカンタをどちらが引き取るかで揉めていたが、突然カンタが家からいなくなってしまう。
©2021「猫は逃げた」フィルムパートナーズ
https://www.lr15-movie.com/nekowanigeta/
2022年3月18日(金)より新宿武蔵野館ほか、全国順次公開。
Column
厳選「いい男」大図鑑
映画や舞台、ドラマ、CMなどで活躍する「いい男」たちに、映画評論家のくれい響さんが直撃インタビュー。デビューのきっかけから、最新作についてのエピソードまで、ぐっと迫ります。
2022.03.04(金)
文=くれい響
写真=佐藤 亘
スタイリスト=カワサキ タカフミ
ヘアメイク=茂木美鈴