下まぶたに入れたブルーは3キロ分の着痩せ効果?

a モノトーンに肌なじみのよいモーヴピンクを組み合わせることで、引き締めつつも女らしいまなざしに。イプノ パレット DR5 ¥6510/ランコム(限定発売中)

b ムラなくなじむクリームチーク。サラリとした質感も魅力。グローイング クリーム ブラッシャー 02コーラル ¥4725/ソニア リキエル(8/1発売)

c なめらかにのびて、下まぶたでもよれにくい。シャープナー不要の便利な繰り出しタイプ。チャビー スティック シャドウ ティント フォー アイ 10ビッグ ブルー ¥2100/クリニーク

d 色とツヤが食後も続く人気の“落ちにくいルージュ”。オーブ クチュール エクセレントステイルージュ BE807 ¥3360/花王ソフィーナ(限定発売中)

e ブランドディレクターAYAKOさんが、長年モデルやセレブリティの撮影やレッドカーペットなどで愛用してきたタイプ。自然な毛束感とボリュームアップを両立。アイラッシュ ボリューム ¥1365/ADDICTION BEAUTY

 “着痩せ”という言葉がある。言うまでもなく、服を着るとそれだけで何キロ分も痩せて見える現象。痩せてるねと言われると、「私、じつは着痩せするの」という人がたまにいるが、あれは手や脚や首もとといった、服から露出する部分だけが細い人。そしてバストやヒップはボンボンしているが、くびれはちゃんとあるラッキーな人である。

 一方に、“着痩せする服”も当然のことながら存在する。たとえば、ダイアン フォン ファステンバーグがよく作っているような“ラップドレス”。巻きスカートのように体に巻きつけて、サイドで結ぶタイプのワンピースだ。

 だから体にちゃんとフィットしているのに、きつかったりゆるかったりすることがなく、特にウエストは、ちゃんと絞られているのに、絞られすぎない。ストンとタテの線も強調されるのでほっそりして見えるし、着物ふうに前で打ち合わせるから、胸もとは深いVネックとなって、これがまた痩せて見えるという具合。細身の七分袖やヒザ丈スカートと、すべてが“着痩せ効果”でしめられているのだ。

 これで10キロ分くらい平気で痩せて見えるケースもあるくらい。つまりはがむしゃらなダイエットなどしなくていい。要は痩せて見えればいいのだから。そう考えると当然、メイクにも痩せて見える、太って見えるがあるはずなのだ。

 たとえば、目もとはやっぱりスモーキーアイ。グレイッシュなブラウンで、眉も含めて丸ごと影にしてしまう強いアイメイクが、高い着痩せ効果をもつのは言うまでもないこと。単純に顔はバランスでどうとでも変えられるから、目は大きくなるほど痩せて見える。特に上まぶたに厚みのあるつけまつ毛などをしてボリュームや重さをもたせると、対比で逆にアゴが軽くほっそり見えるから、必ず痩せて見えるのだ。

 まあここまでは今までも言われてきたこと。しかし意外な着痩せ効果をもっているのが、下まぶたのブルー……。ライン状に明るめのブルーを入れると、なぜだかアゴがほっそり見える。体重にして3キロ分くらいの。これは、白目を青白く見せることで、目もとがキリリと涼しく見えるのと、寒色系のアクセントで頰まで引きしまって見せるせい。これは上まぶたじゃダメなのだ。下まぶたじゃないと。

 じゃあチークはどうだろう。よく“ブラウン系チークで頰を引きしめましょう”なんて提案があるが、ブラウンは相当うまく入れないと、むしろ頰を目立たせ、顔を大きく見せてしまう。コーラルピンクでポッと紅潮した頰をつくると、頰はふっくら見えるものの、逆に対比でアゴと首もとがほっそり見える。やつれて見えるのも“肉”を感じさせて損。ピンとした頰をつくるのがカギなのだ。

 口紅は肌なじみと、赤みのバランスがいいベージュピンク。適度に唇は浮いたほうが、遠近法でフェイスラインがすっと後ろに引いて見えるから着痩せするが赤や肌色ベージュは“肉”を強調するから、太って見えると考えていい。

 かくして、モノトーンと寒色と血色を上手に使うのが、着痩せメイクの法則。そして顔の上半分を重くして下半分を軽く見せると得をする。着痩せ服のように、着痩せメイク、始めてほしい。

齋藤薫 Kaoru Saito
女性誌編集者を経て美容ジャーナリスト/エッセイストに。女性誌において多数のエッセイ連載を持つほか、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。『人を幸せにする美人のつくり方』(講談社)、『大人になるほど愛される女は、こう生きる』(講談社)、『Theコンプレックス』(中央公論新社)、『なぜ、A型がいちばん美人なのか?』(マガジンハウス)など、著書多数

Column

齋藤 薫 “風の時代”の美容学

美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍する、美容ジャーナリスト・齋藤薫が「今月注目する“アイテム”と“ブランド”」。

2013.07.16(火)
text:Kaoru Saito
photographs:Yasuo Yoshizawa(still life)

CREA 2013年8月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

聡明な女は“週末料理”がうまい!

CREA 2013年8月号

2013年版
聡明な女は“週末料理”がうまい!

特別定価 690円(税込)