定番の進化が壁にぶちあたったからこそ、不思議コスメが効く

a 昨年発売され話題を集めた、お手入れの最後に使用するマスクの日中版。発汗による肌のゆるみにアプローチ、夕方までハリのある肌をキープする。ひんやりとした微発泡の使用感も魅力。
B.A ザ デイマスクS 60g ¥15750/ポーラ

b 朱肉のようなクッションに閉じ込められたファンデーションのベースは竹の樹液。クーリングや鎮痛効果も期待できる成分も配合しており、夏にぴったり。
トリートメント カラーコントロール(CC)クッション SPF50+・PA+++ 15g×2個入り ¥5880/アモーレパシフィックジャパン

c 不器用な人でも無駄な力を入れずに美しいアイラインを描ける1本。汗や皮脂にもにじみにくい処方。
リキッドアイライナー 1色 ¥1575/Say

 奇をてらった化粧品を買ってはいけない……今まで何となくそう言われてきた。それは“実力に不安あり”の証拠。王道のつくりでは勝負ができない場合に、逃げとして奇抜なことや変わったことをしてしまうという傾向があるからなのだ。

 もちろん女は“変わったもの”に強く心惹かれる。化粧品は“夢を与える魔法”的な役まわりをもたされたものだけに、“変なもの”の方が効きそうだから。でも結局、奇をてらったものには裏切られる、というのが常だった。

 ところが、この春はちょっと様子が違う。変わったものほど効く。変わったものほどキレイになれる。不思議なものほど狙い目なのだ。そういう意味では化粧品の世界に何かが起きていると言ってもいい。

 たとえば、アモーレパシフィックの新しいコンパクト、トリートメントCCクッションは、フタを開けるとネットがあり、でもその奥に潜んでいるのはお粉ではなく、粉体状だけどしっとりみずみずしい不思議な物体。スポンジパフで肌にのせると、これがびっくりするほどキレイにつくのだ。ツヤもハリも出てキメが整う、とても不思議なカバー力。でもカテゴリー的には“下地”。しかもSPF値が50+も。こんな高機能でありながらファンデではない。使い方から形状から使用感、仕上がりまで何もかもが不思議だ。

 次に泡のデイマスク。泡マスクのパイオニア、ポーラの作だが、朝のメイク前に下地のように使いなさいという使用法がまず不思議。しかもその手応えは頰の位置があがるほどに肌がリフトされるのだ。疲れは人を短時間にたるませる、という発見から生まれたリフトマスク。泡をつぶすように肌の中に押し込む使い方も不思議。なのにこれが手離せなくなる。ファンデのノリがまったく違う上に、肌が一日中ツヤハリに満ちていてエステ帰りの如くイキイキした印象までが続くのだから。

 そして、Sayの“まつ毛アイライナー”。文字通りまつ毛を埋めるラインが難なく描けるのは本当に不思議なくらい。これはフェルトペンタイプのペン先がやじり型になっていて、ペン先が極細なのにありえないコシが生まれるから。ほんのちょっとした工夫がまさに前例のない効果を生む。それが化粧品なのだ。

 でもなぜ今、ちょっと変わった不思議コスメがいいのか。それはいわゆる定番アイテムが進化を重ねて、ひとまず行くところまで行ってしまったから、機能的に成熟を終えたアイテムほど、その先にある機能を求めると、奇をてらったような変わったものになってくる。その“変さ”こそ、今や進化の証なのだ。変わったものほど、最新のテクノロジーを駆使し、かつてない発想で作られたこの世にないもの。不思議はもう“ごまかし”ではなく新効果の証。だから買いなのである。

Column

齋藤 薫 “風の時代”の美容学

美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍する、美容ジャーナリスト・齋藤薫が「今月注目する“アイテム”と“ブランド”」。

2013.06.03(月)

CREA 2013年6月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

やせにくい人のためのお腹やせバイブル

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特別定価 690円(税込)