リーマンショック前の高級品とは高級品の意味が変わった

a ゲランの最高峰ライン「オーキデ アンぺリアル」から、年2回限定で発売される集中トリートメント美容液。再生ステップ、活性ステップ各2本の美容液をプログラムに沿って1カ月使うことで、肌質を改善し、ハリと弾力をアップさせる。オーキデ アンぺリアルザ トリートメント 15ml×4本 ¥157500/ゲラン(次回は秋に発売予定)

b 髪にうるおいを与える12種のアミノ酸や、カモミールなど6種の植物エキスを、露ロマノフ王朝に伝わる処方でブレンド。弾力あるしなやかな髪に。PHILIP B ロシアンバー インペリアルシャンプー 355ml ¥17850/ターコイズジャパン

c 同じくアミノ酸などをロマノフ王朝処方でブレンド。髪のphバランスを整え、すべての髪質を理想的な状態に整える。同 コンディショニング クリーム 178ml ¥19950/ターコイズ ジャパン d現在主流の豚プラセンタの約300倍ものアミノ酸を含む馬プラセンタに、コラーゲンやヒアルロン酸も配合。St.ReDD インナー ブリリアント インフュージョン 50ml ¥8400/フィンギー

 まずこの集中トリートメントは、15万7500円。ヘアケアは2品で3万7800円……。美容ドリンクが、1本なんと8400円……。どうだろう。中途半端な高さじゃない。それぞれの相場からすると、ざっくり10倍以上。美容ドリンクに至っては、一般的な製品の15倍から20倍。

 いくら何でも、そこまで高くしなくても……そういう声もなくはない。確かに今、アベノミクス効果で百貨店でも高級ジュエリーなど、高いものから売れ始めたと言われているが、一般の給料はあがらぬまま。“株で儲けた人”とノリだけで高いものを買いたくなった人だけが買っているのは明らか。いずれにせよ、リーマンショック以来の高級品ブームだが、コスメの場合、リーマン前の高級とはまったく違う。あの頃、いくところまで行って10万円超のコスメが続々デビューしたが、リーマン後はぱったり。そのブランクで化粧品価格に対する価値観もだいぶ変わった。以前は“高いものほど効く”という揺るぎない法則があったから。価格を先に決める商品開発も見られた。でもその後ファストファッションの流行もあり、なんだ、安くっても良いものはできるんじゃない? とみんな気づいてる。従って、今、あえて度胆価格で登場するのは、相当な自信と説得力が必要。価格だけでは人を暗示にかけられない時代なのだ。

 従って、これらには高いだけの“理由”がある。まずゲランの4週間集中ケア。超高濃度でエキスが配合された希少なランをゲランは独自に栽培しているが、それが世界3カ所にラン専門のセンターをつくり、中国で育てたランをスイスで観察研究し、フランスの先端テクノロジーで成分にしている。ハッキリ言って投資がものすごいのだ。しかも4本の異なる美容液を合体させたような複雑な働きをもつもの。言ってみれば“香水”みたい。15万超は無理もない。またフィリップBのシャンプー&コンディショナーは、ともかく黙って使えばひたすら納得! というほど髪が変わる。ハリツヤコシがとんでもないレベルで揃う。ロマノフ王朝で処方されたそのままを再現、すべて食べられる素材を使っている。ともかくこの超高級コンビは説得力の固まり。そして8000円の美容ドリンクは、日本初の美肌クリニックであまりに有名な石井クリニックがルーツ。当院で魔法の水として行列もできたフィンギー発酵液に加え、馬プラセンタをともかく12万mg配合している上に美肌成分をこれでもかというほど贅沢にブレンド。何かある日の前日、エステに行く代わりに飲む1本と考えれば、高くはない。

 ハッキリ言って今、法外なコスメをつくっても、ニセモノだったらたちまち袋叩きに合うはずで、噓はつけない時代。ましてや単なる高級品じゃない。相場の10倍以上なら改めて“度胆効果”が効く。“高すぎるものはやっぱり効く”のである。

齋藤薫 Kaoru Saito
女性誌編集者を経て美容ジャーナリスト/エッセイストに。女性誌において多数のエッセイ連載を持つほか、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。『人を幸せにする美人のつくり方』(講談社)、『大人になるほど愛される女は、こう生きる』(講談社)、『Theコンプレックス』(中央公論新社)、『なぜ、A型がいちばん美人なのか?』(マガジンハウス)など、著書多数

Column

美容ジャーナリスト 齋藤 薫の美脳トレーニング

美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍する、美容ジャーナリスト・齋藤薫が「今月注目する“アイテム”と“ブランド”」。

2013.08.06(火)
text:Kaoru Saito
photographs:Yasuo Yoshizawa

CREA 2013年8月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

聡明な女は“週末料理”がうまい!

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2013年版
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特別定価 690円(税込)