料理を「作らない・作れない」ことに罪悪感を持っている人に贈る、フードライター・白央篤司さんの金言&レシピ。
どんなものであれ、作ろうと思ったそのこと自体が尊い。今晩はひと品、作ってみませんか?
2021年買ってよかったもの&忘れられない食べもの
こんにちは。
とうとう12月、年の瀬が近づいてきましたね。本連載では毎回何かしらのレシピを紹介してきましたが、今回はちょっと趣向を変えてみようかと。
1年の終わりということで、今年買ってよかったもの、忘れられない食べもののことなどを書いてみます。まず最初は、青森県で出合ったカレーから。
◆種子にんにく農園「鶏もも一本カレー」
今年の6月、青森県の田子町(たっこまち)を訪ねました。田子町って、ニンニクの一大産地なんです。新ニンニクの時期に、農園さんを取材して栽培から収穫の模様を見せていただいたんですね。
その「種子にんにく農園」さんが作るカレーが実においしい。ずっと東京のレストランで働いていた、元シェフの方が農園にいらっしゃるんです。その方が開発したカレー。ニンニクも入ってますが、香りは全然きつくなく。まろやかだけどスパイス感もしっかり。
じっくり煮込まれた鶏肉はほろりと柔らかく、そのうま味がカレーに満ちて、完成度の高さに驚いてしまいました。
2021年、心に残るカレーの代表選手です。
こちら、取材のときにいただいた新ニンニクの醤油漬け。新ニンニクは辛みや香りがきつくなくて、あたりのやさしいフレッシュな味わい。3分ほど蒸してから醤油に漬けるのだそう。オツな一品でした。
種子にんにく農園
◆もりやま園「えんシードル」
青森には今年縁があって、仕事で10月にまた行ってきたんです。今度は弘前市。取材の後、市内をウロウロしてたらいいお酒屋さんがあったんですよ。愛着のあるお酒だけをじっくりと選んで置いてるんだろうな、というのが存分に感じられるお店でね。そこで気になったのが「えんシードル」、おみやげに1本買って飲んでみたら……これがおいしい!
青森といえば言わずもがなの名物がリンゴ、製造元の「もりやま園」は弘前で100年以上続くリンゴ園なのだそう。
果実味がきれいに濃縮されて、何より香りが素敵にフレッシュで。すっかりファンになってしまい、通販でまとめ買いしました。「彩香(さいか)」「安祈世(あきよ)」の2種がありますが、どちらもおすすめ。ぜひ2本セットで飲み比べてみてください。
2021.12.13(月)
文・撮影=白央篤司