“テレビっぽくない”芸人・阿佐ヶ谷姉妹の魅力

 この作品がドラマ化できているのは、現実の「阿佐ヶ谷姉妹」に注目が集まっているという証拠。結成のきっかけは、2007年、阿佐谷にある鰻屋に二人で訪れた時に、姉妹のように似ているので主人から「阿佐ヶ谷姉妹でなんかやったら?」と言われたこと。エリコさんがブログに「阿佐ヶ谷姉妹にご要望ありましたら」と書いたところ、お笑いライブからのオファーが舞い込みコンビとしてデビューしました。

 その後はさまざまなバラエティ番組に出演してキャリアを重ねながら、「とんねるずのみなさんのおかげでした『第22回細かすぎて伝わらないモノマネ選手権』」での優勝、「女芸人No.1決定戦 THE W」での優勝と、しっかり結果も残してきています。

 さらに特番として「阿佐ヶ谷姉妹のおばさんだってできるわよ」(日テレ)、「阿佐ヶ谷アパートメント」(NHK)と、自身の冠番組をもったり、「ヒルナンデス」(日テレ)でレギュラー出演をしていたりとまさに飛ぶ鳥を落とす勢い。彼女たちが今勢いに乗っているからこそのドラマ化に納得です。

 確かなコントの腕前や高い歌唱力が自慢の阿佐ヶ谷姉妹ですが、その評判でよく耳にするのが、“「普通のおばさん」という安心感”があるという意見。たしかに、テレビ化されていない、普通っぽさにほっとします。これが素なのか、つくられたキャラクターなのかはわかりませんが、キラキラしたテレビの世界の中では妙に異質に映る、「普通のおばさん」感に癒されている人が多いのです。

 以前エリコさんがツイートで、“カラオケ終わってヨーカドーにいます。今うちにトマトありましたっけ?”と、ミホさんに送るLINEを誤って全世界向けに発信してしまう珍事がありました。これが大バズリしたのは、二人の生活のやりとりがほほえましかったから。

 また、昨年は阿佐ヶ谷姉妹の朝の様子を紹介した「モーニングルーティーン動画」が300万再生を突破。番組の企画だったのですでに削除されているのですが、こちらも飾らない二人の姿や仲良し感が大好評でした。

2021.11.29(月)
文=綿貫大介