古傷が甘く痛む短編集

『一生好きってゆったじゃん』
横槍メンゴ 著

 恋愛短編集。

「思春期のどこにも記されていない、こぼれ落ちてしまう気持ちが作品にぎゅっと詰め込まれています。恋愛のしんどさで溢れていて、同じ経験をしてなくても古傷が甘く痛みます」(犬山さん)

あの痛みがなければ私じゃない

『スクールアタック・シンドローム』
舞城王太郎 著

 家庭内暴力や再生などをテーマにした青春小説。

何度生まれ変わってもあの痛みがないと私の人生じゃないってことを思い出す作品。きゅんとするのは誰とでもできるけど、この重たさは二人じゃないと」(長井さん)

「心を揺さぶられた本」を教えてくれた方々(50音順)

犬山紙子(いぬやま・かみこ)さん
イラストエッセイスト

1981年生まれ。『すべての夫婦には問題があり、すべての問題には解決策がある』など著書多数。「文學界」で「むらむら読書」を連載中。

宇垣美里(うがき・みさと)さん
フリーアナウンサー

1991年生まれ。TBSラジオ「アフター6ジャンクション」などに出演するほか、執筆活動も行う。週刊文春で「宇垣総裁のマンガ党宣言!」を連載中。

加納(Aマッソ)さん
お笑い芸人

1989年生まれ。幼馴染の村上とお笑いコンビ・Aマッソを結成。テレビ朝日「トゲアリトゲナシトゲトゲ」に出演中。著書に『イルカも泳ぐわい。』(筑摩書房)。

柴田聡子さん
ミュージシャン

1986年生まれ。東京藝術大学大学院修了。詩人としても活動。最新アルバムは「がんばれメロディ!」。「文學界」でコラム「きれぎれのハミング」を連載中。

千早 茜(ちはや・あかね)さん
作家

1979年生まれ。『魚神』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。最新作は『ひきなみ』(KADOKAWA)。食についてのエッセイ『わるい食べもの』(ホーム社)がある。

トミヤマユキコさん
漫画研究者

1979年生まれ。大学では少女マンガ研究の講義を担当。著書に少女マンガの“ブサイク”な登場人物を考察した『少女マンガのブサイク女子考』(左右社)など。

長井 短(ながい・みじか)さん
俳優

演劇活動と平行してモデルとしても活動する「演劇モデル」。著書に、読者の自尊心を研ぎ澄ませるエッセイ『内緒にしといて』(晶文社)がある。

三浦哲哉(みうら・てつや)さん
映画評論家

1976年生まれ。青山学院大学文学部比較芸術学科准教授。専門は映画評論、表象文化論。著書に『LAフード・ダイアリー』(講談社)など。

私が心を揺り動かされた本

2021.10.24(日)
Text=Nozomi Nagata
Photographs=Kengo Shimizu

CREA 2021年秋号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

明日のためのエンタメリスト

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