作家や俳優などの方々に、読むと感情が湧き上がってくる本をノンジャンルで教えてもらいました。生活に彩りを与えてくれる、ブックガイドです。

 当たり前にありすぎて気づかなかった、大切な感情を思い出させてくれます。

犬と人との友情あるいは動物愛

『野良犬トビーの愛すべき転生』
W・ブルース・キャメロン 著
青木多香子 訳

 転生を繰り返す犬の視点で語られる。

「それぞれの生で、残酷なことも幸福なことも両方出てくるのですが、犬がどのように飼い主を信頼し、何を喜びとするか、ストレートに伝わってきます」(三浦天紗子さん)

何気ない場面に涙が溢れてくる

『ともだちは海のにおい』
工藤直子 著
長新太 絵

 孤独を愛するイルカとクジラが出会う。

「知らないうちに自分が傷ついていたことを『ともだち』が気づかせてくれる。そういうときは泣いてもいいんだとも。固く閉じた心をやわらかくしてくれる」(樽本さん)

色褪せない、明治期の若者たち

『虞美人草』
夏目漱石 著

 身分や結婚をめぐって錯綜する若者たちを描く。

「共に語り合えたり、そばに居てくれるありがたさとか、それでも口籠ってしまうことがあるとか、そういう一辺倒で無い友情の姿にじーんとします」(柴田さん)

最高の父子物語

『ザ・ロード』
コーマック・マッカーシー 著
黒原敏行 訳

 荒廃した極寒の世界を生き抜く親子。

「収奪や暴力があり、旅する父と小さな息子に何度も試練が襲ってきます。そんな中で、何が何でも息子を守るという父の力強い愛と息子の健気さだけが希望」(三浦天紗子さん)

2021.10.22(金)
Photographs=Kengo Shimizu

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※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

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