#230 Kami Goto
上五島(長崎県)
長崎県の西沖、東シナ海の南北約80キロにわたって、140あまりの島々からなる五島列島。そのうち、中通(なかどおり)島、若松島、奈留(なる)島、久賀(ひさか)島、福江島の5島が、中心となる大きな島です。
五島列島をざっくりと南北に分けて、「上五島」、「下五島」と呼ぶこともあります。今回ご紹介する「上五島」は、中通島と若松島とその周辺の島々を指します(自治体としては「新上五島町」)。
上五島はそのほとんどが西海国立公園。木々の緑で覆われた島々が折り重なるように連なり、入り組んだ海岸線が続いています。どこを切り取っても絵になる景色です。
上五島のメインの中通島を訪れてまず向かったのは、蛤浜(はまぐりはま)海水浴場。白砂の浜に遠浅の海が広がる、地元の人にも愛されているビーチです。
蛤浜海水浴場は、かつてハマグリがたくさんとれたことから、その名が付いたそう。干潮時にはだいぶ潮が引くので、かつて島民たちは浜に下りて貝拾いをしていたのかな、なんて想像が膨らみます。
おすすめは、穴場な絶景ビーチのハマンナ。こちらは曇り空でも、ポテンシャルの高さを感じます。遠浅の海の中央には源五郎島が浮かんでいるように見え、両脇は荒々しい岩場のレイアウト。サーフスポットでもあります。
源五郎島は、地元の人の間では“ライオン島”と呼ばれているそう。たしかに伏せたライオンが天を仰いでいるようにも見えます。浜には鳥のさえずりが響きわたり、こだましていました。静かな午後です。
2021.09.11(土)
文・撮影=古関千恵子