●人の温かみを描いたハートウォーミングな主演映画

――そんななか、「僕のヒーローアカデミア The "Ultra" Stage」(19年)で演じられた轟焦凍は、クールな反面、激しい感情も出すキャラだったかと思います。

 アクションも激しく、主人公のデクの影響を受けて感情を爆発させていく感じが難しい役どころでもありました。

 ぶっきらぼうな部分もあり、「ひょっとしたら、昔の自分も、こんな性格だったのかな?」と思いながら演じていましたが、そばにいてほしいキャラを目指しました。

 2.5次元だけでなく、どの作品でもそうですが、僕はそのキャラクターのいちばんのファンであり、理解者であることを大事にしています。少しでも、そのことが欠けると、原作ファンのお客さんに気づかれてしまいますから。

――そのほか、これまで演じてきたなかで、思い入れのあるキャラクターは?

 いっぱいありますが、「青の祓魔師」(16~17年)の奥村燐は、とても印象深いです。これまでお話ししてきたキャラクターは、クールだったり、物静かな部分が大きいと思うんですが、彼は熱血でまっすぐ。

 それは自分のなかにあまりないものだったので、挑戦作でもありましたが、演じていて気持ちが良く、力をもらえました。

――主演最新作となる映画『ゴーストダイアリーズ』では、霊と交信できる能力を持つ青年・慎一を演じられました。

 最初、「シリアスで怖い話なのかな?」と思いながら脚本を読んだのですが、じつはコミカルな部分があったり、最終的にほっこりできたんです。

 幽霊を扱っていながら、人の温かみを描いたハートウォーミングな作品で、タイトルとのギャップに驚かされました。

 慎一は霊と交信できるんですが、常に冷静という性格に関しては、まっすぐ突き進む相方の雅との対比を出していけたらいいな、と思いながら役作りをしていきました。

●これからもお芝居を続けて、いろんな作品や役に出会いたい

――ちなみに、雅役の日向野祥さんとは初共演だったそうですね。

 彼は身長も大きく、がっしりしているので、「ちょっと怖い方なのかな?」とも思っていたんですが、ちょっと天然な部分もありつつ、現場をほっこりさせてくれるような存在でした。

 現場ではずっとイジっていたんですが、「こんなにイジられたのは、初めて」と言っていましたね(笑)。

 役者陣も少ないんですが、スタッフさんも少数精鋭ということで、監督ともたくさんお話しできましたし、撮影も順調で、とても和やかな現場でした。

――本作では、どんな新しい北村さんが観られると思いますか?

 そもそも、映像作品に出演する機会が多くないので、映像でお芝居する僕を楽しんでもらいたいです。

 映像は舞台と違って、目線や瞬きひとつで感情を伝えられるので、僕自身も、もっと出られるように頑張っていきたいですし、見守ってほしいです(笑)。

 また、映像ならではトリックみたいなものもあるので、そこも楽しんでもらいたいと思います。

――今後の目標や将来の展望について教えてください。

 最初は訳も分からず入った世界ですが、それが楽しいと思えるようになって、30歳まで続けられたことがスゴいと思うんです。

 それを継続していくことは、とても大変なことだと思いますが、とにかくお芝居を続けて、いろんな作品や役に出会いたいです。そして、世界を広げていきたいと思います。

 個人的に「白夜行」が好きなドラマだったので、必死に生きて、身も心もボロボロになるような役柄にも挑戦したいです。

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北村 諒(きたむら・りょう)

1991年1月25日生まれ。東京都出身。2012年に俳優デビューし、その後は「弱虫ペダル」「刀剣乱舞」「あんさんぶるスターズ!」「おそ松さん」「青の祓魔師」「僕のヒーローアカデミア」など、人気の2.5次元舞台に出演する。19年には『映画 刀剣乱舞 -継承-』にも出演した。

映画『ゴーストダイアリーズ』

まっすぐで純粋な性格のフリーライター・雅(日向野祥)は、霊と交信できる不思議な力をもった友人・慎一(北村 諒)と特ダネを探して、ある民宿を訪れる。そこではカズキという青年の姿をした幽霊が現れるが、彼は宿の管理人・田崎(倉田てつを)の甥っ子で、生前に田崎とケンカしたままだったことが心残りで、成仏できずにいた。
http://ghost-diarys.united-ent.com/
2021年9月10日(金)より、池袋HUMAXシネマズ、センチュリーシネマにて公開。
2021年9月11日(土)より、シアターセブンにて順次公開。

Column

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2021.09.10(金)
文=くれい響
撮影=深野未季
スタイリスト=森内陽子
ヘアメイク=芝原睦美