「テニスの王子様」から「刀剣乱舞」まで、さまざまな2.5次元舞台に出演。絶大な人気を誇り、近年はドラマにも出演している和田琢磨。

 デビューから現在までの足跡を振り返る第1回。

●飲食店でバイト中にスカウト

――幼い頃の夢は?

 子どもの頃、父から野球を教わっていたので、野球選手に憧れていました。中学生のときはセカンドを守って、東北大会の3位ぐらいまで行くことができました。それによって燃え尽きてしまったのか、高校に入ってからは違うスポーツをやってみたいと思い、ハンドボールを始めました。最終的に、キャプテンとして一生懸命打ち込んでいましたね。

――その後、18歳で上京されて、カットモデルを始められますが、そのきっかけは?

 とにかく、修学旅行でしか行ったことのない東京に行きたかったんです。東北の大学にハンドボールの推薦をもらっていたのですが、それを断ってまで行きたかったんです。上京して、すぐ派遣の短期アルバイトをいくつかしていたのですが、原宿で美容師さんに声をかけられて、カットモデルになりました。それで21歳ぐらいのときに働いていた渋谷の飲食店で、今のマネージャーにスカウトされました。

●初仕事が主演舞台に

――スカウトされて、すぐに快諾したのでしょうか?

 じつはカットモデルをしていたときにも、ほかの事務所からスカウトされていたんですが、そのときはお断りしていて……。でも、やっぱり芸能の道に行くことを諦めきれなかったんです。その頃、誰かに憧れていたということはないんですが、部屋にブラッド・ピットのポスターを貼っているような生活を送っていたので(笑)。

――そして、最初にやられたお仕事は?

 2009年、23歳のときに出させていた舞台「流れる雲よ~DJから特攻隊へ愛を込めて~」です。最初、別の役でオーディションを受けたのですが、プロデューサーから「トリプルキャストの主演をやってみない?」と言っていただきまして、主演をやりました。

 演技経験はないうえ、上手下手も知らない素人だったので、ずっと緊張していて、何も覚えていません。キャパ500人ぐらいの劇場だったこともスゴいことなのに、僕の体感的には倍の1000人に感じたほどの経験です。

2021.06.04(金)
文=くれい響
写真=平松市聖