島建ての神アマミキヨが最初に降り立った聖地「安須杜」
![沖縄本島の北端、辺戸岬。水平線ににじんで見えるのが与論島。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/a/d/1280wm/img_ad84c4e8a44a7c186c85087c438fd7bb119865.jpg)
街灯などない山中をこわごわと走っていたら、ヘッドライトが照らし出したのは見たこともないような大蛇。胴体は直径12~13センチ、頭はこぶし1.5個分くらいあったでしょうか。道いっぱいを閉鎖するように、横切っていました。
その威風堂々とした態度と神々しいばかりの存在感に、「あれは山の神様に違いない」と畏敬の念を感じたのを覚えています。今回のやんばるでその話をすると、「ハブだったんじゃない? たまに出るよ~」と、こともなげ。自然のスケールが違うのです。
ちなみに、中南部からやんばるへ向かう国道58号の沖縄県の起点は、国頭村の奥集落。鹿児島港(西郷隆盛銅像前交差点)を起点に、海上航路部分も国道扱いをしているため、総延長は875.7キロと、日本一です。その実、海上が7割を占めているのですが。
![鹿児島県から奄美大島を通り、沖縄の陸の起点となっているのが奥集落のココ。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/2/8/1280wm/img_28ee506b1e3556d8cb1bb8ef599ef75c168757.jpg)
沖縄本島の中南部とは、どことなく空気感が変わる北部。その理由は、土地のなりたちの違いにあるようです。
![海洋プレートに乗っていた石灰岩が盛り上がって生まれたカルスト地形の大石林山。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/4/f/1280wm/img_4fbe716db12f2380d53092104c497d38201990.jpg)
北部には沖縄の島建ての神、アマミキヨが最初に降り立ったとされる聖地、安須杜(あしむい)があります。辺戸岬からみると、森の中から4つの石灰岩の峰がそそり立っている安須杜には、ただものではないオーラが漂っています。
![大石林山の悟空岩から見下ろした海岸線。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/7/1/1280wm/img_717b4705fac58188d54b5d97a28329d595045.jpg)
![辺戸岬から見上げた、周囲とは異彩を放つ安須杜。昔からUFOらしき目撃談も。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/2/4/1280wm/img_24a85f963422b02784e782039b3adfd9116997.jpg)
この石灰岩は、実に2~3億年も前のもの。移動してきた海洋プレートが大陸プレートにぶつかって沈み込む際に、海洋プレート上に乗って運ばれてきた石灰岩が沈み切れずに大陸プレートの端にくっつき(ちょうどローラーベルトの端で余分なものがひっかかり、積み重なった感じ)、一部が盛り上がったもの。
一方の中南部は、2,000万年前の隆起サンゴ礁。北部とは年代のケタが違って、地球からすれば、若い(!?)のです。
![58号線の謝敷集落から大石林山を見ると、横たわるねはん像のように見えます。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/0/e/1280wm/img_0e78378b23019eeac9760ea2f0f29c3575988.jpg)
だから、中南部のビーチはサンゴ礁から生じた白砂&遠浅。それに対して北部は圧縮された石灰岩のごつごつとした岩山で、ほとんどがサンゴの嫌う酸性土壌。そんな違いから、ビーチの雰囲気も違ってきます。
2021.08.14(土)
文・撮影=古関千恵子