
歴史好きはもちろん、デザインやアート、うつわや雑貨などが好きな人にもオススメしたい、八ヶ岳山麓にある「茅野市尖石縄文考古館」。
ここでは尖石(とがりいし)遺跡について知ることができるだけでなく、発掘された現代の感覚だとアーティスティックともいえる土偶や土器、石器など発掘された考古資料を鑑賞することができます。さまざまな体験を通して、およそ1万3000年前から約1万年間も続いたとされる壮大な縄文時代を感じられる施設です。
» 特別史跡の一角に佇む考古館
» 〈展示室A〉考古館のあゆみを辿る
» 〈展示室B〉2体の国宝土偶に出会う
» 〈展示室C〉縄文人の暮らしに触れる
» 〈展示室D〉縄文の体験コーナーが大充実
» 見どころは館外にも! 遺跡の由来「尖石さま」
» 与助尾根遺跡では竪穴住居が復元
» 独自解釈による“藤森式”竪穴式住居
特別史跡の一角に佇む考古館

茅野市尖石縄文考古館があるのは、およそ5000年前、縄文時代中期の集落遺跡「尖石石器時代遺跡」の一角。“学術上の価値が特に高く我が国文化の象徴たるもの”を意味する、特別史跡に指定されています。
ちなみに2025年9月現在、特別史跡は全国で64件、縄文時代の特別史跡に限るとわずか5件のみ。尖石石器時代遺跡はそのうちのひとつとして、1952年に特別史跡に指定されました。
館内の常設展示室はA〜Dまで4つあり、茅野市内から出土した2000点余りの考古資料を見ることができます。
〈展示室A〉考古館のあゆみを辿る
展示室Aは、尖石遺跡の調査に尽力し、茅野市尖石縄文考古館の初代館長や長野県考古学会の初代会長を務めた宮坂英弌氏の業績と出土資料が展示されています。
ズラリと並ぶ土器は圧巻。興味深いのは土製耳飾で、縄文時代にもピアスのようなアクセサリーが存在したことがわかります。
〈展示室B〉2体の国宝土偶に出会う


展示室Bには土器などの他に、2体の国宝土偶が展示されています。
ひとつは縄文時代の土偶の中で、日本で最初に国宝に指定された「縄文のビーナス」。安産祈願や子孫繁栄を願うマツリに使われたと考えられています。
もうひとつは「仮面の女神」。逆三角形の仮面をつけていて、神に代わってマツリをする女性を表現したと考えられ、死と再生のマツリに使われたのではないかと推測されています。
両方とも現代アート作品さながらの独創性とデザイン性に優れた土偶で、見応えたっぷりです。
2025.10.06(月)
文・写真=石川博也