唯一無二の演技で、数々の映画やドラマで私たちを魅了する草彅剛さん。11月には主演舞台『シッダールタ』が開幕する。ヘルマン・ヘッセの原作をもとに長田育恵さんが劇作を手掛け、白井晃さんが演出を担当。まだ稽古がスタートする前に、草彅さんと共演の杉野遥亮さんに本作についてお話を伺った。

 まずは草彅さんのインタビューから。

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もちろん、おやつは「1本満足バー」です(笑)

――まず、『シッダールタ』の戯曲を読まれた感想を教えてください。

 古代インドのお話ですが、途中に現代のキャメラマン――「カメラ」じゃなくて「キャメラ」ね! ――が出てくるなど、面白いなと思いました。

 シッダールタは途方もない旅をして、ある川のほとりにたどり着きますが、すでに全てを持っていることに気づきます。人間って、そういうもののような気がします。外に答えを求めようとするけれど、結局は真理は内側にある……。

 でも、まだ稽古前なのでまだよくわかってないです。『バリーターク』の時もそうでしたが、白井晃さんの舞台はいつもそんな感じです。稽古に入って、白井さんの言葉を聞いて、共演者の方と対峙して、ようやくセリフや物語が自分の中に入ってきます。だから、今は稽古を早くしたくてたまらないです。遠足前の子供みたいな気持ち。おやつを持って早く遠足(稽古)に行きたいな! と。もちろん、おやつは「1本満足バー」です(笑)。

――演出の白井晃さんとは、『バリーターク』(2018年)、『アルトゥロ・ウイの興隆』(2020年、2021年)と、何度もタッグを組んでいらっしゃいます。

 「新しい地図」になってから、最初にオファーをくださったのが舞台『バリーターク』だったので、白井さんには信頼しかないです。

 僕は子供みたいなところがあって、あまり物事を難しく捉えないんです。『バリーターク』も難しい台本だったのですが、白井さんが僕にもわかるように噛み砕いて演出してくださって、知らない世界を見せてくださいました。

 最初はどこに力を入れたらいいのかわからなかったけど、だんだん投げられたボールの芯を捉えるように、(役を)掴んでいく感覚があって、その過程がすごく楽しかったんです。

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