「ねえ、ぼくの"風街"めぐりをしてみない?」から始まった、松本隆さんの人生と創作活動にゆかりのある場所をめぐる旅。この好評連載が書籍『松本隆と風街さんぽ』になりました。発売を記念して京都編の一部を抜粋します。
カウンターカルチャーが生まれる街
「ぼくは、はっぴいえんどのころから京都に住みたいとずっと思ってた。古い伝統文化を守りつつ、カウンターカルチャーが生まれる街であることに惹かれたからなんだ」
二〇二五年三月某日。松本さんとわたしは京都会館(ロームシアター京都)前に佇んでいた。
「ここですね?」とわたし。
「ここなんだ」と松本さん。
平日だというのに、建物周辺は多くの人で賑わっている。併設のカフェも満員だ。平安神宮がそばにあるからか、外国語も飛び交う。
「五十五年前にここで演奏を?」
「そう。十年ほどまえ、改修してネーミングライツで『ロームシアター京都』に名前は変わったけど、うまくリフォームしているから雰囲気は変わってない。はっぴいえんどでライブをした、あのころと一緒なんだ」










