前回のあらすじ~
 あるうららかな日に、招き猫の町として名高い豪徳寺をお散歩。あちこちの店先で招き猫を確認しつつ、いざお寺へ向かうと……。とつぜん親切なおじさんが現れ、境内を案内してくれた。そして、誘導されるままに足を進めると、目の前になんじゃこりゃー! な光景が。

「招福殿」の脇にある奉納所には、願いを叶えた招き猫たちが集まってくる。

 取材に行ったのは2月上旬。先ほどのおじさんいわく、招き猫は1月に奉納されるため、この時期は1年でいちばん多くなるのだとか。
 どうりで、こんなにわんさかいたという訳だ。

びーっちり!
後ろ姿も壮観です
一斉に招き中
目が少女漫画みたいな子が
こんなことしてバチが当たらないかしら……

「ところで、なんでみんな同じ顔なんですか?」
 と、おじさんに尋ねてみた。

「それはですね」

「この招き猫は、豪徳寺で販売している『招福猫児』(「まねぎねこ」と読むらしい)なんです。300円のミニサイズから、5000円の特大サイズまで全8種類。受付で売っていますよ。たまに、よその招き猫も奉納されていますけどね」

 あれ、いつの間にかおじさんが首から名札を下げている。

 ボランティアガイド
 豪徳寺・井伊家愛好會
 原島和男

 と書かれてある。
 そうか、この親切なおじさんの正体は、ボランティアガイドさんだったのだ!

 どうりで詳しいはずである。何を聞いても答えてくれる。

 原島さんが、

「武士にとって左手は不浄の手ゆえ、豪徳寺の招き猫は右手をあげています。でも、招福殿の中に、左手をあげている珍しい招き猫がいるんですよ」

 と教えてくれたので、招福殿の中をのぞいてみると、たしかにいた。左手をあげている3匹の招き猫が。

 ぜひ豪徳寺を訪れて、直接確かめてみてほしい。

<次のページ> 境内を後にし、そこで目にしたのは……

2013.03.08(金)