●むくみをチェックする方法
そもそも、むくみとは、どのような状態をいうのか。
病的なむくみとそうでないものの違いは、一体何なのか?
リンパ浮腫の専門家でもある「麹町皮ふ科・形成外科クリニック」院長の苅部淳先生におうかがいしました。
「実は、むくみには、明確な定義があるわけではないんです」と、苅部先生。
病的なむくみ以外では、本人がどう感じるかが、判断のポイントになるのだとか。
「というのも、あらゆる細胞は、そもそも栄養を含んだ間質液(水分)を取り込めるようになっています。その水分は、細胞に栄養を届けたら、老廃物と共に回収されます。
そうした水分は、本来なら、血液やリンパの流れに乗って、体中を循環しているのですが、循環させる力が弱まると、細胞の間に溜まっていきます。すると、むくんだ状態になる。
とはいえ、重力がある以上、下から上に(水分を)戻すにはエネルギーがいりますから、夕方に足がむくむのは、ある程度、仕方のないことでしょう。問題は、病的なむくみです」
病的なむくみとは、今回、私が疑った静脈瘤やリンパ浮腫、その他、腎臓や肝臓などの病気由来のものだそう。
「リンパ浮腫は、多くはがんなどの手術の後に発生します。何十年か経ってから症状が出ることがありますので、むくみが辛いと感じるようなら、専門医を受診するといいでしょう。
また、下肢静脈瘤は静脈の弁が壊れるなどして静脈の流れが滞り、その結果、こぶのようなものが静脈にできたり、血管が浮き出たりするものです。筋肉が少ない女性の方が、男性よりもなりやすいですね。
そのほかにも、病気が原因でむくむ場合もありますので、重だるさを感じたら、見過ごさないようにしましょう」
とはいえ、病的なものかどうかを見分けるのは難しい。
そこで、苅部先生に病的なむくみかどうかのチェック方法を教えていただきました。
●むくみ自己チェック
1:ひざ小僧(ひざの円の真ん中部分)から10センチ程度下の太さ(周囲)を計測する。
2:夜と翌朝に測り、朝になっても戻らないかどうかをチェックする。
「朝と比べて夕方以降に足が太くなるのは、当たり前。特に、立ち仕事や座りっぱなしの仕事をしていて足を動かさない人なら、よくありがちでしょう。
しかし、朝になっても、元の太さに戻らないなら、注意が必要です。専門医を受診しましょう」
なるほど、「どれだけ太くなったか」よりも、「戻るかどうか」が肝心なのですね。
では、対策と解消法には、どんなものがあるのでしょうか。
「何よりもいいのは、歩くことです。歩くことで、ポンピング作用が起こり、筋肉が血管やリンパ管を収縮させるため、滞りが防止されます。
たくさん歩く必要はないですが、30分に1回程度はこまめに歩くようにしましょう。距離は、10メートル程度で十分。意識して、日常的にしっかり行いましょう」
これは、簡単でいいですね。
とはいえ、うっかりすると2時間くらい同じ姿勢でいたりするので、気をつけたいところです。
「ほかには、シャワーではなく、お風呂に入るのも有効です。寝る前に、足に適度な圧をかけるという意味でも、夜の寝る2時間くらい前に入るお風呂はおすすめです。
また、寝る時は、足を心臓よりも高い位置にしておくといいでしょう。いわゆる着圧ソックスは、夜に履く人もいるようですが、夜は足を上げて寝るだけでも効果的ですよ」
静脈瘤の診察でも、勧められた着圧ソックス。
医療用以外にも、今やいろんな種類のものが出ています。
どんな風に選べばいいのか、次回、教わっていきましょう。
苅部淳先生
麹町皮ふ科・形成外科クリニック院長。順天堂大学医学部卒業後、東京大学附属病院形成外科入局、埼玉医大総合医療センター形成外科・美容外科助教、福島県立医大付属病院、山梨大学附属病院形成外科助教・医局長を経て、現職。日本形成外科専門医、日本抗加齢学会専門医、日本医師会認定産業医。
なお、麹町皮ふ科・形成外科クリニックでは、リンパ浮腫の専門外来を設けているので、気になるかたは問い合わせてください。
麹町皮ふ科・形成外科クリニック
Column
にらさわあきこの日々是実践美容道
新人美容研究家のにらさわあきこが取り組む美容道。アラフォー超えて、本格的に真剣に取り組むことになった「美容体験」や「美容習慣」の考察記。
2020.08.24(月)
文・撮影=にらさわあきこ