老舗の名を背負う
「愛本店」のホストたち

 一夜の夢へとエスコートしてくれるホストたちは、では、いったいどんな人物なのだろうか。ホスト業界でもベテランと呼ばれる“大人”のホストに本音の話を聴いてみた。

◆部長・美島光司さん

 「まだまだ短くてホスト歴はたったの26年」と語る美島光司(みしま こうじ)さんは、目力の強いダンディ。

 「俺が一番ええ男や」と思い込むことがホストとしての力の源だという美島さんは、軽妙な関西弁で来店客を飽きさせないトークを展開してくれる。

 そして事実、彼こそが「一番いい男」だと感じさせる大人のオトコの色気と風格をこれでもかと漂わせた、まさしくベテランのホストだ。

 美島さんがホストになったのは、大阪での大学在学中に学費を稼ぐためだったという。愛本店にやってきたのは22年前、きっかけは東京から遊びに来ていたホストと知り合ったこと。当時はネットなどの情報もない時代、東京のホストクラブはNo.1だと言われる愛本店しか知らなかった。

 けれど元々No.1にしか興味のなかった美島さんは、迷うことなく上京、そして愛本店を選んだ。それから20年以上。通説によれば、ホストとしての年齢上限は28歳らしい。そんな中で40代の美島さんはベテラン中のベテランだ。

「これまでに、何千人というホストたちを見てきた。当然ホストを辞める男たちを見送ることも多く、自身も辞めようと思ったことが何度もある」

 しかし現在もまだ現役のホストとして活躍し、更には上位ランクを保持する美島さんは、今後もホストを続けていくつもりだと話す。

 その理由は、この仕事が好きだから。ホストとは自分自身が売り物であり、自分の価値に対価を得られる。「必要とされているか否かがこれほどハッキリわかる仕事はない」と美島さんは言う。

 ホストを続けていくには「なにかひとつ、これだけは人に負けないというものを持っていないとダメ」と断言した美島さんの「負けないもの」は勉強だというから驚きだ。何度も落ちているが、今でも司法試験に挑戦し続けている。

 勉強は自分を裏切らないから好きなのだと冗談めかしてはいたが、「いつかお客さんが専門知識を必要とする場面もあるかもしれない、そんな時には助けになりたい」と続けた言葉も彼の本音だろう。

 「昔はホストクラブの誇りと言われてたけどな、今は埃と言われるわ」など、流れるようにギャグを口にする美島さんに、ホストとしての矜持が垣間見えた。

 「よく遊ぶ人は、よく働く。しっかり働いて、しっかり遊んで人生を謳歌して欲しい」、「女性に対して世間の風当たりが強いことも多いと思う。辛い時こそホストクラブを利用して。誰にも言えないことを話して、落ち着いてから家に帰ればいい」と微笑んだ美島さんは、女性客に対する“愛”に溢れたホストである。

2020.01.02(木)
文=木間のどか
撮影=近藤健嗣、松本輝一
動画撮影・編集=松本輝一