“放牧宣言”から半年後には
歌いたくてウズウズしていた

トップス 49,000円/アリス アンド オリビア(ルック)
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 始まりの春。2018年11月に“集牧宣言”をし、再スタートをきった人気バンド「いきものがかり」。約2年の充電中はどこで、何をして、何が変わったのか。吉岡聖恵さんにまずは、“放牧中”に一番やりたかったことを伺うと。

「いろいろなライブを観たいとずっと思っていたんです。その願いが叶って、セリーヌ・ディオンさん、エド・シーランさん、Mr.Childrenさん、森山直太朗さんなどの歌声を生で聞けました。グラミー賞には2年連続行くことができて、どのパフォーマンスもかっこよかった!」

 自分をどこまでも解放させる。それが“放牧”の最大のテーマで、なかでも旅は外せないことだった。

「ニューヨークにロス、沖縄の竹富島にも行きました。あと『ほんとに放牧を見に行くとか?』っていう冗談から始まり、スイスの牧場まで旅しちゃいました。ハプニングもあって、乗り継ぎの飛行機を逃してヘルシンキで1泊することになったんです。それはそれで楽しもうと海沿いを散策していた時に、知り合いがもうすぐ結婚するので、そのお祝いの練習で海に向かって歌ったんです。『ありがとう』と『少年』の2曲を。そうしたら通りがかりの日本人のおじさまに『歌うまいね、CD出すの?』って言われて。出せるといいですね、と答えました(笑)」

 放牧中は本心から歌いたいと思うまで歌わないと、考えていたという。そんな彼女が旅先で自らを解き放ち大地に響かせた歌声は、力強さと美しさに溢れていたはずだ。

歌える準備は常にしていた

「じつは休みに入って約半年後には歌いたくなっていました。前は声がかれるからお酒を避けていたんですけど、好きな時にたしなみながら過ごしていたら、すぐに飽きちゃって。というか体が牛になっていく(笑)。デビューしてから約10年間、ひたすらライブとレコーディングを繰り返す日々がどれほど体によかったのか。何もしないと体も心もたるんでいく気がしていました」

 いつ再始動するのかは、決まっていなかった。しかし、いざという時に体にスイッチが入るように準備はしておこうと、声を出すこととパーソナルトレーニングを定期的に行い、コンディションを整えていた。

「リーダー(水野良樹)とほっち(山下穂尊)とはよく集まりごはんを食べていて、放牧して1年がたった頃からいつ戻る? という話になっていました。19年には元号が変わり、世の中も変化を迎えるだろうから、前の年の結成日、11月3日に集牧をすることにしたんです」

 今年の1月にリリースされた再始動第1弾の配信シングル「WE DO」は疾走感と爆発力がある曲。

「以前は聞いてくれる人に物語を重ねることを意識していたんですが、放牧期間を経て自分たちが積極的に楽しんでいこうという姿勢に変わりました。『ほんとはね、わたしたちが主役なんです』という歌詞は、聞いている人も自分たちも人生の主役。昔は勝手に自分たちで責任を背負って追い詰めてしまうところがあったけど、もっと自由になっていいんだと思えるようになった。その気分が融合した楽曲になりましたね」

 昨年吉岡さんはソロアルバムを出すなど3人の個々の活動も充実。今後も3本の矢の1本、1本が太くなれば3本揃った時の力が増す、と話しているとか。エネルギー満タンの彼らが平成の次の時代をどんな色に染めるのか。期待は膨らむばかりだ。

吉岡聖恵(よしおか きよえ)

1984年生まれ、神奈川県出身。「いきものがかり」のボーカル。「ありがとう」ほかヒット曲を出すなか2017年に“放牧宣言”し活動休止。18年10月にソロアルバム『うたいろ』を発売する。11月に「いきものがかり」が再始動。19年4月1日に配信シングル「SING!」がリリースされる。

Column

C&C インタビュー

今月のカルチャー最前線。一押しの映画や舞台などに登場する俳優にお話を聞いています。

2019.04.14(日)
撮影=榎本麻美
スタイリング=満園正明(UM)
ヘア&メイクアップ=長谷川亮介

CREA 2019年5月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

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遠く青く澄んだ海にふりそそぐ陽光、どこからか聞こえる三線の響きに、うちなー言葉。日射しを避けてカフェで読書したり、ドライブインから海を眺めたり、〆ステーキに挑戦してみたり……久しぶりの沖縄は、なんだか新しくてでもどこか懐かしい、旅人たちが元気になれる場所でした。沖縄のお気に入りを詰め込んだ保存版です。