味噌煮込みうどんと
100年続く老舗居酒屋
立ち去りがたいほど楽しい中部国際空港セントレアだけれど、ご当地の名古屋めしも食べたい物があれこれ。後ろ髪を引かれる思いで市内に移動することにした。
夜のフライトで帰るには少し慌ただしくなるので、東京への帰路は遅くまで走っている新幹線に決めた。ボーナスマイルは片道でも獲得することができるからだ。
空港から名古屋駅までは特急で30分ほど。駅に着いたところで、まずは名古屋名物のひとつ、味噌煮込みうどんを食べることにした。
味噌煮込みうどんで知られる店は、「山本屋本店」と「山本屋総本家」の2種類があり、名前は似ているもののまったく違う会社。名古屋市民の間でも好みは分かれるという。
今回は、味噌煮込みうどんにこだわる「山本屋本店」を選んだ。名古屋駅構内から駅周辺まで何店舗かあるが、ゆっくり食べたかったので、駅から5分ほどのビルの地下へ。昼を少し過ぎていたこともあり、案の定店内は空いていた。
シンプルなうどんから牡蠣や肉などの具材をプラスしたものまで数種類があったが、「名古屋らしい」という店員さんのお勧めに従い名古屋コーチン入りを選んだ。お新香はお代わり自由。ランチタイムはごはんも自由だ。
「えっ、ごはん?」と思うかもしれないが、名古屋ではこれが普通なのだとか。食べ始めてわかった。独自に醸造、ブレンドしたあじ味噌で煮込んだうどんはごはんのおかずになるくらい濃厚な味なのだった。
ちなみに、斜め向かいに座っていた地元のOLさんらしき女性は、スープまで飲み干していた。うどんを食べ終わった後に、スープの中にごはんを入れる人もいるらしい。
山本屋本店 名古屋駅前店
所在地 名古屋市中村区名駅3-25-9 第1堀内ビル地下1階
電話番号 052-565-0278
http://yamamotoyahonten.co.jp/
そして、名古屋市民の友人と合流。とっておきのお店に連れて行ってもらうことになっていた。
名古屋駅から地下鉄東山線で1駅の、伏見駅7番出口の階段を上ってすぐの場所にある「大甚本店」だ。創業1907年、なんと100年以上愛され続けている居酒屋だという。
先に着いた友人からは「1階の席が取れた!」とのメッセージが入っていた。16時5分にお店の扉を開けると、既に満席だった。16時開店で16時5分には満席! しかも平日である。いったいここは……?
聞くと、1階は常連さんの予約も多く、地元の方でもなかなか入ることができないのだとか。
入口近くには小皿に取り分けられたお総菜が40種類近く並んでいる。朝から仕込みをしていて、なかには10時間煮込む料理もあるという。
そこから好きな物を取り、人気のマグロの刺身、エゾ鹿のステーキ、和牛ホルモン味噌土手、お刺身や焼き物、煮魚などは注文する。冬は釜の中で湯煎される特注樽酒の「賀茂鶴」の燗酒が料理によく合う。
6品ほど選んでみた。鮫の皮の煮こごりや、穴子の蒲焼き、タケノコの煮物、角が立ったマグロの刺身など、どれも美味しい! なのに安い! ご主人の山田さんが5つ玉のそろばんで弾いてくれたお会計は2人で3,000円あまり。東京にあったら毎日通ってしまいそうな名店だ。
大甚本店
所在地 名古屋市中区栄1−5−6
電話番号 052-231-1909
2019.01.19(土)
文・撮影=たかせ藍沙