60もの星座を観測できる場所

 湖畔の町レイク・テカポは人口400人足らず、ネオンや町明かりがもともと少ない町でした。

 それに、街灯を黄色や白色ではなくオレンジ色に統一し、22時以降はカーテンを閉めて室内灯が漏れないようにするという住民たちの努力もあって、星空保護区の条件を満たす光害の少ない、漆黒の夜が叶えられたのです。

 “テカポ”は先住民のマオリの言葉で、テカ=スリーピングマット、ポ=夜。夜になると、大きな布団が町全体を覆うようなイメージが浮かびます。

 晴天率が高いレイク・テカポですが、曇り空が広がっていたのが気になり、夜を待ちきれず、星空観察ツアーを開催しているアース&スカイのツアーデスクへ話を聞きにいきました。

 晴れた場合。

 さらに標高の高い海抜1,031メートルにあるマウント・ジョン天文台へ行き、星空観察。頭上に広がる天の川の中の南十字星やニセ十字や、大小マゼラン星雲など、日本では見られない天体を肉眼で満喫します。

 見られる星座は60もあり、ツアーではそのうち20~25個が紹介されます。ちなみにマオリの人々も星座を結んでいたとか。

 ただしここ南半球は北半球とは逆位置ゆえに、図柄は別もの。

 たとえばギリシャ神話の狩人であるオリオン座をここではカヌーに見立て、西に位置するおうし座を“帆”、南十字星を“錨”としました。夏が近づく11月から3、4月まで天空に出現する巨大カヌーを、マオリの人々は漁のシーズンの目安にしていたそうです。

2018.12.08(土)
文・撮影=古関千恵子