Winkが一夜限りの再結成!

■「南国土佐を後にして」丘みどり

 ペギー葉山の名曲を、メキメキと頭角を現している若手の丘みどりが担当。スゴイ美形なのでルックスばかりに目がいくけど、この人ハンパ無く歌がうまいのだよなあ。去年の紅白から目をつけてます。

■「美しい十代」三田明

 55年前に発売された「美しい十代」のレコードジャケットと同じセーターを着て歌うという、老け具合が露骨にわかるリスキーな演出。それを敢えて実践した三田明のサービス精神、買おう。

■「愛と死をみつめて」青山和子

 マコ……甘えてばかりでごめんネ。この歌い出しだけでなぜかウルッときた私どうした。

■「二人の銀座」市川由紀乃・北山たけし・丘みどり

 黒一点の北山たけしが、不公平にならないよう、律義に右むいたり左むいたり市川と丘を見つめながら歌うので忙しい忙しい。そんな北山たけし、女殺しなスイートボイスが素晴らしい。ねちっこーい感じの新曲、待つ!

■「東京五輪音頭」天童よしみ

 いやもうなにを歌わしても安心して聴ける浪速の歌姫よ。ただ、東京五輪音頭だけでなく、彼女の大ヒット曲「珍島物語」とかも聴きたかったー。

■「淋しい熱帯魚」「愛が止まらない」Wink

 一夜限りの再結成! 相田翔子の変化のなさが妖怪レベル。サッチンは波乱万丈だったみたいだが、可憐で繊細な雰囲気とねちっこい美声は相変わらず。歌い終わった後「翔子と」「早智子と」と顔を合わせ、「また一緒に歌えたことが嬉しかった」と涙ぐむ2人を見て「尊い……」と呟いたのは私だけじゃないはずだ! これを機にガンガン歌番組に露出してほしい。

■「おふくろさん」森進一

 川内康範氏ともめた過去もなんのその、この曲を封印する気はさらさらなさそうな森進一。確かにこの曲を歌っている時の彼には、母親に恩返ししそこなった全国の息子たちの業を全部背負っているような強烈な罪悪感と祈りを感じる。

■「まつり」北島三郎

 永遠の大トリ。客席を巻き込んでの「まつりだまつりだ!」コールは日本の魂を感じて圧巻。2020年の東京五輪は、開会式は「マツケンサンバⅡ」、閉会式はこの曲でええやん!

 このほかにも、昭和44年に放送した「第1回『思い出のメロディー』を最新の技術を駆使して映像をカラーにしたので振り返ろうコーナー」に映し出された並木路子の衝撃的なパンチパーマ、昔からどこまでも淡谷のり子な淡谷のり子、さらには映画ソングコーナーでMCを担当した綾小路きみまろによる「呼んでもないのに助けに来る。しかも乗り物は馬」という、小林旭の大ヒット映画「渡り鳥」シリーズのシンプルにもほどがある名解説など、泣いて笑って大満足の2時間半。

 平成最後にふさわしい、「大切な曲」の歌い継ぎでした。

 年末の紅白歌合戦も楽しみすぎる。

 ああ、歌って、本当に素晴らしい!!

田中 稲(たなか いね)

大阪の編集プロダクション・オフィステイクオーに所属し『刑事ドラマ・ミステリーがよくわかる警察入門』(実業之日本社)など多数に執筆参加。個人では昭和歌謡・ドラマ、都市伝説、世代研究、紅白歌合戦を中心に執筆する日々。著書に『昭和歌謡 出る単 1008語』(誠文堂新光社)など。
●オフィステイクオー http://www.take-o.net/

Column

田中稲の勝手に再ブーム

80~90年代というエンタメの黄金時代、ピカピカに輝いていた、あの人、あのドラマ、あのマンガ。これらを青春の思い出で終わらせていませんか? いえいえ、実はまだそのブームは「夢の途中」! 時の流れを味方につけ、新しい魅力を備えた熟成エンタを勝手にロックオンし、紹介します。

2018.10.17(水)
文=田中 稲
写真=文藝春秋