【WOMAN】
11年前の伝説の短篇集が再刊
プロポーズの言葉で涙腺崩壊
プロポーズという英語を直訳すると、「提案する」。自分の意思や希望を相手に知らせる、という意味だ。『ちはやふる』の作者の幻の短篇集は、プロポーズが物語のピークを形作る。
第1篇「ハルコイ」は、23歳保育士で彼氏いない歴23年ののんちゃんと、彼女のウブな恋を見守る50歳の友人・綾子さんの物語。職場近くのリストランテの店長に一目惚れしたのんちゃんは、私なんかじゃ「絶対ダメ」とうずくまってしまう。綾子さんは言う、「『絶対ダメ』なんて言えるくらい何度も失敗した?」。その言葉を引き金に、向かっていった。うまくいった、でも……。とびきりのプロポーズは、のんちゃんから綾子さんに向けて放たれる。その後も、男性から女性へ、女性から男性へ、女の子から母親へと、プロポーズが連鎖する。たとえ桜が散って悲しくとも、必ず春はまた来る、と信じればいいんだ。全4篇はきっと、作者から読者へのプロポーズ。
『ハルコイ 新装版』(全1巻) 末次由紀
『ちはやふる』の連載を始める直前(2007年)に描き継いでいた、全4篇収録の短篇集の新装版。ウエディングプランナーのアラサー女性と離婚歴アリの恋人との間に渦巻く、結婚を巡る複雑な感情を描いた「指輪の片想い」も珠玉。その他、「美彩食堂」「ななつの約束」を収録。
講談社 429円
Column
男と女のマンガ道
男と女の間には、深くて暗い川のごとき断絶が横たわる。その距離を埋めるための最高のツールが、実はマンガ。話題のマンガを読んで、互いを理解しよう!
2018.05.30(水)
文=吉田大助