今月のテーマ「プロポーズ」

【MAN】
熱い言葉だけでは足りない
大事なのは運とタイミング

 大江戸湾岸高校1年A組の樺山プリンくんが、2年A組の金剛寺金剛さんに一目惚れ。「金剛寺さん好きです!! 大好きです!!!」。その告白を、柔道の体落としで拒絶。そもそも金剛寺さんは超が付く論理主義者で、恋心なんてあやふやなものを寄せ付けない。そのこともまた論理で(くどくど)説明していたら、プリンくんが二の矢を放った。「僕は金剛寺さんの面倒臭い所が大好きです」。自分でも気にしていたところを、肯定してもらえた。「私も、君が好きだ」。そればかりか第3話では、「私は君と結婚し、生涯共に過ごすよ」。そんなこと、まだ想像すらしていなかったのに! その前に、付き合うって段取りが必要なのに……。

 作中で繰り返し描かれるのは、幸福や奇跡が出現する瞬間の、歯車の動きだ。熱いプロポーズの言葉だけでは足りない。運とタイミングの存在が、互いの「好き」を増幅させ、互いのハートをこじ開けるのだ。

『金剛寺さんは面倒臭い』(既刊1巻) とよ田みのる

天然系超純愛マンガ『ラブロマ』の作者による新連載。「説明しよう!!」と言って語り出す実況中継ナレーションが、少年少女の恋の運とタイミングを解説してくれる。少年は実は、地獄からやって来た鬼だ……という設定が今後どう活かされるのか? 
「ゲッサン」連載中。
小学館 552円

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2018.05.30(水)
文=吉田大助

CREA 2018年6月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

アウトドアのいいもの150。

CREA 2018年6月号

OUTDOOR, BEST OF BEST 150
アウトドアのいいもの150。

定価780円

「この特集に、もっと早くに出会いたかった!」。一冊を作り終えた現在の心境です。目の前の6月号には、「自分で作った雑誌に、かつてこれほど付箋をつけたことがあったかな」と驚くほどの量の付箋が……。もう、欲しいものばかり。〈アウトドアのいいもの〉が教えてくれた、「徹底的に機能性を考えるとデザイン的にも洗練される」という発見。今年いちばんワクワクしました。