テラスから見る感動の朝焼け

 チェックインのときに手首に巻かれるのが、このリストバンド。実はこれが、ゲストルームのキーだ。

 このキーが手首にあるだけで、部屋を出るときにいちいちキーを確認したり、アルコールでいい気分で部屋に戻ってきて、ドアの前でキーをゴソゴソ探したり……なんてこともない。小さなことではあるがルームキーを管理しなくていいということが、こんなにも心を解放させるのだというのは、新たな発見のひとつだった。

 373室あるゲストルームはすべて海側に面しており、スタンダードタイプで約60平方メートルの広さ。ほぼすべてがオーシャンビューだ。

 なかでもオーシャンビューの「ロイヤルデラックスハネムーン」は全部で169室と、最も部屋数が多いカテゴリとなる。

 チェックインのあとバトラーが部屋を案内してくれ、ポーターが荷物を運んでくれるが、ここで気になるのがチップ。チップの習慣のない日本人は、いくらをどのタイミングでわたすのか、意外と気を遣うものである。しかしオールインクルーシブを採用する「ル ブラン」ではチップは不要だ。

 ロスカボスと日本の時差は16時間。ほぼ昼夜が逆転するので、到着日の翌朝にはジェットラグのために思いのほか早起きをしてしまうこともある。

 そんなときには、テラスに出て夜明けを待つのもいい。真っ暗だった空がゆるゆると白みはじめ、次第に東の空を真っ赤に染めて太陽が姿を見せる。BGMはもちろん波の音。

 ロスカボスは多くのビーチが遊泳禁止になるほど、波が高いことで有名だ。真っ暗な中で聞く荒々しい波の音は恐ろしく感じるほどで、朝いちばんで自然の雄大さに心震わせる時間を過ごせるはずだ。

2018.06.18(月)
文・撮影=請川典子