溢れる光とここちよい闇を味わう客室
パブリックスペースの素晴らしさもさることながら、客室のヨーロッパ的完成度の高さもさすがだ。壁面いっぱいに採られた窓からの強烈な陽射しは、ここがアフリカであることを思い出させてくれる。
このホテルで過ごしていると……パリにいるような錯覚を覚えて、アフリカにいることを忘れてしまう……。
南に面した客室のテラスでの時間も最高。明け方、コーランの響きに目を覚まして東を見れば、クトゥビーヤモスクが浮かび上がる。そしてはるか南の向こうには、アトラス山脈。アフリカの陽射しに日向ぼっこもいいし、もちろん昼寝も最高。
あのチャーチルが、テラスでの思索の時間を何より好んだというのが、ちょっと分かるような。
光の部屋を満喫すると、夕闇から夜にかけて変化する部屋のまったりとした感じもまた新鮮。カーテンを閉め切って生まれるダークな空間は、なんかこう“歴史は夜つくられる”みたいな意味深な雰囲気だ。
右:昼間の客室でも、光と闇のコントラストが演出されているガルシアの内装。
2018.04.07(土)
文・撮影=大沢さつき