アントワープで
川の「下」を自転車で渡る

今回借りた自転車は、日本の自転車と同様にハンドルにブレーキがあったので、安心して乗ることができた。

 ベルギーを離れる前に、自転車好きの皆さんに、ぜひともご紹介したい場所がもうひとつあった。それは、昨年のベルギービール特集でもご紹介したベルギー北部の街、アントワープにある地下トンネルだ。

 アントワープは、児童文学『フランダースの犬』のラストシーンの舞台となったことでも知られる街。北海へと注ぐスヘルデ川岸という地の利から交通の要衝として栄えてきた。スヘルデ川の水深が深く、大型船が航行できるからだ。毛織物産業の交易も盛んだったことから、現在でもファッションの街として数多くのモードを発信している。

 今回、アントワープに立ち寄った目的は、その繁栄の要となったスヘルデ川を横断する地下トンネル「聖アンナ・トンネル」だ。1930年代に造られたトンネルは自転車と歩行者の専用で、地下31.57メートルの深さにあり、長さは572メートルもある。

 自転車を借りたのは、スヘルデ川に面したステーン広場にある「アントワープ・バイ・バイク」。ここには日本と同じハンドルにブレーキが付いているタイプの自転車があった。サドルの高さを調整してもらい、ガイドのジョンさんに先導してもらって、いざ、出発!

エスカレーターに乗るときにはハンドルを90度横に向けてしっかりブレーキハンドルを握る。

 「聖アンナ・トンネル」に降りるには、エレベーターとエスカレーターがあるが、この日はエレベーターが故障していたので、エスカレーターを利用した。なんと、木製! 歴史を感じるとともに、当時の最新技術で造られたことに思いを馳せた。

 自転車でエスカレーターという初体験を前に、ジョンさんが乗り方を指南。「ハンドルを90度回転させ、しっかりとホールドして」と。見本を見せてくれたジョンさんが、遥か下の踊り場で待っている。もう1階降りるとトンネルだ。

いざ、トンネルへ! 目的地は572メートル先の出口。

 信号もなく真っ直ぐなトンネルを一気に走り抜けた。これはかなり爽快! ただし、右側通行で歩行者に注意することは忘れずに。対岸に着くと、再び木製エスカレーターで地上へ。上りも下りと同様、ハンドルを90度回転させる。

左:トンネルを抜けると再びエスカレーターで地上へと上る。
右:途中、地元のイケメンたちとすれ違うことも(笑)。
スヘルデ川の対岸から眺めるアントワープの中心街。

 対岸からアントワープの中心街の写真を撮ったら再び地下トンネルへ(早い、笑)。地上の滞在時間は短いけれど、目的は地下トンネルを走ることなのだから。もうエスカレーターの乗り方にも慣れたし、一気に川を横切った。

再びトンネルを通って戻る。入り口の上にある建物は、地下へと続くエレベーターだ。

 最後にアントワープの市内へ。アントワープには、市内150カ所以上のステーションと約2000台の自転車を有する自転車シェアシステム「ヴェロ」があり、事前に登録すれば30分間は無料で利用することができる。なんてステキな自転車シティ!

市内150カ所以上にある自転車シェアシステム「ヴェロ」。
最後にジョンさんの先導でアントワープの市内をぐるりと走ってから街を後にした。

Antwerp by Bike
(アントワープ・バイ・バイク)

所在地 Steenplein 1, 2000 Antwerpen
電話番号 0497-18-53-45
http://www.antwerpbybike.be/en

Velo(ヴェロ)
電話番号 03-206-50-30
http://www.velo-antwerpen.be/en

【取材協力】
ベルギー・フランダース政府観光局

http://www.hollandflanders.jp/

ブルージュ観光局
http://www.visitbruges.be/en

アントワープ観光局
http://www.visitantwerpen.be/en/

KLMオランダ航空
http://www.klm.co.jp/

たかせ藍沙 (たかせ あいしゃ)
トラベル&スパジャーナリスト。渡航150回超・70カ国超、海外スパ取材250軒超、ダイビング歴800本超。日々楽しい旅の提案を発信中。著書は『美食と雑貨と美肌の王国 魅惑のモロッコ』(ダイヤモンド社)、薔薇でキレイになるためのMOOK『LOVE! ROSE』(宝島社)など。楽園写真家・三好和義氏と共著の『死ぬまでに絶対行きたい世界の楽園リゾート』(PHP研究所)は4刷で、台湾・中国にて翻訳出版、第2弾『地球の奇跡、大自然の宝石に逢いに… 青の楽園へ』も中国で出版された。『ファーストクラスで世界一周(仮題)』近日刊行予定。
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