ベルギーとオランダでは、旅行者でも気軽に現地で自転車をレンタルし、サイクリングを楽しむことができます。素敵な街並み、美味しいレストラン、そしてゴッホゆかりのスポット……。たかせ藍沙さんが、この2つの国を気ままに散策する旅に出ました。

 第7回は、オランダらしさを堪能しに、「ゴッホの森」と呼ばれるデ・ホーヘ・フェルウェ国立公園、風車が並ぶザーンセ・スカンス、そしてアイセル湖畔の村などを訪れます。

ゴッホの名作を堪能して
「ゴッホの森」でサイクリング

デ・ホーヘ・フェルウェ国立公園の中にあるクレラー・ミュラー美術館。

 「ゴッホの森」と呼ばれる森がある。オランダ最大の国立公園、デ・ホーヘ・フェルウェ国立公園だ。公園内にはクレラー・ミュラー美術館があり、ゴッホの作品が多数展示されている。

自然光が入るクレラー・ミュラー美術館。ゴッホの作品はメインの部屋に展示されている。

 創館者のアントン・クレラー・ミュラーは、鉱物と船舶で財を成した資産家。その妻ヘレーネは芸術が好きで、とくにゴッホに心酔して作品を収集していた。そして、ついには公園の敷地内に美術館を造ってしまったのだという。ゴッホ作品のコレクションとしては、アムステルダムのゴッホ美術館に次ぐ規模だ。

ヌエネンの街で1885年に描かれた『じゃがいもを食べる人々』。
1886~1887年に描かれた『4本の切ったひまわり』は、花瓶に生けた『ひまわり』とは違い、萎れて枯れそうな姿をしている。
1888年の『夜のカフェテラス』は、空のブルーとカフェの温かな灯りの対比が秀逸な作品。

ヌエネンでは、『じゃがいもを食べる人々』が描かれた場所を訪ねたが、そこで描かれた実物がここにある。他にも、『4本の切ったひまわり』『自画像』『夜のカフェテラス』『種まく人』など、数々の名作が揃う。

 ここには、1938年にクレラー・ミュラー夫妻が造ったオリジナルの美術館の他に、1977年にオープンした新館があり、レストランやショップも併設されている。

 美術館では、2万点もの芸術作品を所蔵。そのうちゴッホの作品は、約90点の絵画と、約180点の素描。ゴッホ以外には、ミレー、セザンヌ、モネ、ピカソなどの作品もあり、館内だけでなく、周囲の緑の中にも彫刻などが点在している。

左:公園内で借りることができるレンタル自転車には、ハンドルにブレーキが付いていない!
右:森の中のサイクリングは楽しい。

 ゴッホの作品を堪能した後は、レンタル自転車を借りて公園内をサイクリングすることに。自転車は美術館入り口前に大量に駐輪されていて、誰でも無料で使うことができる。

 ただし、日本の自転車と違い、ハンドルにはブレーキがなく、ペダルを止めてブレーキをかけるタイプだ。公園内は未舗装の道もあるので、慣れるまではゆっくりと走ろう。途中、森の中に点在する彫刻を見たりしながら、サイクリングロードをひとまわりした。

狩り好きのクレラー・ミュラー氏が建てた狩猟のための館。ガイドツアーで館内を見学することができる。
左:デ・ホーヘ・フェルウェ国立公園の入り口にあるビジターセンター。
右:ランチはオランダ名物のパンケーキ。

 運動後は公園内のビジターセンターにあるパーク・レストランでランチ。オランダ名物のパンケーキをいただいた。ルッコラとチーズ、クルミに、ハチミツの甘さがよく合って美味しい! イチゴのスムージーとともにするりと胃袋に入っていった。

Kröller-Müller Museum
(クレラー・ミュラー美術館)

所在地 Houtkampweg 6, 6731 AW Otterlo
電話番号 0318-591-241
http://www.kmm.nl/jp

2017.11.15(水)
文・撮影=たかせ藍沙