昨年8月、希少がんである乳がん“浸潤性小葉がん”のステージ3であることを公表した、梅宮アンナさん(52)。現在は、母のクラウディアさん(81)と、ときどき米国から帰国する娘の百々果さん(23)と生活をともにしながら、治療と仕事を両立させている。
治療の日々やがんで変わった仕事観、家族との生活について、アンナさんとクラウディアさんに語っていただいた。『週刊文春WOMAN2025春号』より一部を抜粋してお届けします。

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抗がん剤と言っても種類によって全然、副作用が違った
――浸潤性小葉がんの治療の経過はいかがですか。
アンナ あと数日で最後の抗がん剤が終わる予定なのね。だから来週はもうパーティですよ(笑)。抗がん剤が終わった後は放射線、分子標的薬とホルモン剤の投薬もあってまだまだ治療は続くんですけど、治療の中で一番キツいのは抗がん剤じゃないかなと思ってて。
――「抗がん剤=つらいもの」というイメージがあります。
アンナ AC療法という一発目の抗がん剤がとてつもなくキツかったです。今やってるパクリタキセルという抗がん剤は週1回を12回のペースですが、AC療法は2週間毎に計4回。つまり、ACの方がより”濃い”状態で体に入るから、お酒で言うとテキーラをショットで入れる感じなんですね。で、パクリは水割りみたいな薄さだから、一口に抗がん剤と言っても種類によって全然、副作用が違った。
ACの時は夜中も2時間おきに目が覚めて、膀胱がずっと「出せ出せ」って言う。パクリは夜中に起こされるようなことはないけど、手足のしびれがひどい。ペットボトルを開けるのも一苦労です。
結局、ACの時に免疫を叩きのめされてしまい、ニューモシスチス肺炎に罹って2週間入院しました。抗がん剤は正常な細胞まで攻撃するので、体はそれを必死に治そうとするから疲れるし、やっつけたがん細胞の死骸というか、ゴミみたいなのが体に溜まっている感覚もあり、今はすごく疲れてます。

がん治療は「山登りみたいなもの」
――治療で挫けそうになることもあった?
アンナ 実はつい先週、弱気になって先生に相談したんです。あと少しで抗がん剤も終わりだし、「十分頑張ったからここで止めておきましょう」って言ってくれるかなって。そうしたら、「今、胸突き八丁。最後のラストスパート頑張りましょう」って返事が返ってきて、全然、リタイアさせてくれなかった(笑)。
治療開始前にその先生が、「がん治療は山登りみたいなもの。雨が降って泣く泣く下山しなきゃいけないこともあるし、ルートを変えなきゃいけないこともある」と説明してくれたんですけど、まさにその通りで、私も予定外の肺炎で抗がん剤後に予定していた乳房の切除手術が前倒しになり、スケジュールが変わりました。
そういった説明のひとつひとつに心から納得してここまで来たし、弱気にはなったけど、治療を止めようと思ったことはなくて。私にとっては死に直結する病気なので、「どんなにキツくてもドクターストップがかかるまでは耐える。これは修行だ」と言い聞かせてます。
2025.04.14(月)
文=小泉なつみ