「食べられない日がくるから」と、10kg体重を増やしたが…
クラウディア 本当、私が代わってあげたい。
アンナ って、いつも母は言うんですよ。でもクラウディアさんだったら絶対、耐えられないと思うよ(笑)。
――もともとアンナさんは、体は強い方だった?
クラウディア 休むっていっても、風邪くらいよね。
アンナ 子どもの頃、仮病を使って休んだことは何回もあるけどね(笑)。貧血とか婦人科系のトラブルもなかったし、もともと体は強い方だったと思います。
治療前、本能的に、細いと乗り越えられないかもと思って、体重を増やしたんです。家族からも、「いつか食べられない日がくるから」って脅かされていっぱい食べたけど、結局、食べられなくなる日は一向に来ず(笑)。だから56kgから10kgも太っちゃったけど、それで抗がん剤と戦ってこれたから、しょうがないかなと。

治療の長さにショックを受けた
――話は戻りますが、がん発覚のきっかけは?
アンナ 去年の5月に、シャワーから出て胸を見たら、右胸だけ明らかに小さくなってるのがわかって。2カップ分くらい縮んでたんです。娘の百々果にも写真を送ったら、「それは絶対おかしい。すぐ病院に行って」と言われて検査を受けたところ、告知を受けました。
うちはお父さん(故・梅宮辰夫氏)が肺がんとかいろんながんに6回もなってるし、父の2人の妹も大腸がんと乳がんで亡くなっていて。そういう意味では、小さい頃からがんが身近な病気だったんですね。だから告知された時も、「ついに自分にもきたか」と、冷静でした。むしろ一緒に来てたママが大泣きしちゃって、ママの心配ばっかりしてた。
クラウディア あなた、私の前で泣いたことはほとんどないわね。
アンナ シャワー入ってる時とか、一人になると泣くんだけど、それもすぐ泣き止むんですよ。周りの大人たちが、がんになったら手術、抗がん剤、放射線と治療を経て社会復帰していたのを見ていて基礎知識があったせいか、得体のしれない恐怖はなかった。そういった治療が「標準治療」と言われるものだと知ったのは、自分ががんになってからでしたけどね。
むしろ私は、治療の長さの方にショックを受けちゃって。抗がん剤で半年、ホルモン剤は10年も!?って。長い旅です。
2025.04.14(月)
文=小泉なつみ