ベルギーとオランダでは、旅行者でも気軽に現地で自転車をレンタルし、サイクリングを楽しむことができます。素敵な街並み、美味しいレストラン、そしてゴッホゆかりのスポット……。たかせ藍沙さんが、この2つの国を気ままに散策する旅に出ました。
第3回は、ベルギーの世界遺産都市ブルージュを訪れます。
「屋根のない美術館」と賞賛される
中世の街並みを堪能する
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ブルージュの旧市街は、城壁の内側のすべてが世界遺産に登録されている美しい街。「屋根のない美術館」「水の都」とも称され、石畳の路地と運河が中世の街並みに彩りを添えている。
「ブルージュ」とは「橋」を意味するオランダ語に由来するとされ、運河に架かる50以上の橋も見どころのひとつだ。
ブルージュについては、以前、ベルギービール特集のうちの1回を割いてご紹介した。再訪となった今回はサイクリングが目的ということもあり、半日だけ徒歩で散策することに。そして、前回よりもさらに裏路地へと歩を進めた。
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最初に、前回の取材時にも訪ねたマルクト広場へ。街のシンボルでもある鐘楼と名物の馬車の写真を撮ったら、馬車に乗りたい気持ちを抑え、広場に面した「ピエール マルコリーニ」や「ゴディバ」のチョコレートショップに立ち寄りたい衝動も我慢し(笑)、細い路地へ。
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右:細い路地を抜けて、建物の下を抜けて……、旧市街はちょっとした探検気分を味わうことができる。
運河にかかる橋からは船に乗って楽しそうな旅行者の皆さんの姿が見える。次回は船に乗ろうと心に決めて、さらに裏路地へ。
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人がすれ違うのもやっとという路地を抜けて、さらに建物の1階に開けられた通路を抜けて進んでいくと、建物の中に小さな祭壇があった。ここは、「アルムハウス(神の家)」の中にある小さな教会。
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中世では平均寿命が40歳代だったため、財産を寄付して「アルムハウス」を造ることにより死後幸せになれると信じられていた。「アルムハウス」は、貧しい人々が暮らすことができる救貧院。ブルージュには46軒もの「アルムハウス」があるという。ここにはよく手入れされた中庭もあった。
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そんな意外な歴史に触れながら歩を進めると、旧市街に不似合いな大きなタンクを詰んだトラックが停まっていた。以前取材した「デ・ハルヴェマーン醸造所」だった。当時、クラウドファンディングで資金を集め、地下にビール輸送用のパイプラインを造る計画があった。
訪ねると、2016年夏に約3キロのパイプラインが完成し、トラックとパイプラインの両方でビールを運んでいるという。次の予定があるのでここでもビールは我慢!(笑)
Brouwerij De Halve Maan
(デ・ハルヴェマーン醸造所)
所在地 Walplein 26, 8000 Brugge
電話番号 050-44-42-22
http://www.halvemaan.be/
2017.09.03(日)
文・撮影=たかせ藍沙