ベルギーの代名詞といえば、ビール。九州よりも小さいというこの国では、数々の醸造所が、競うように個性にあふれたビールを世に送り出しています。この短期集中連載では、ブリュッセル、アントワープ、ブルージュなど、ベルギーの各地をトラベルライターのたかせ藍沙さんが旅し、ビールに酔いしれるとともに街の魅力をレポート。
第3回は、美しき古都ブルージュを訪れます。
かわいい街並みの観光は、馬車か船で
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かつて城壁に囲まれていたブルージュは、13世紀頃から織物交易でヨーロッパ随一の貿易港となり、15世紀に栄華を極めた街。
その後、北海から流れ込んだ砂で運河の水深が浅くなり船が入れなくなると、ブルージュは人々から忘れられていった。時が止まったかのような中世の景観が残されているのはそのため。今では旧市街全体が世界遺産に登録されて、観光客に人気の街となっている。
ブルージュ駅から旧市街に向かう途中に、緑に囲まれた運河沿いの小径がある。まずここがかわいい! 時間があったらベンチで半日くらいのんびり読書でもしたいくらい。対岸には中世の建物が見えたりしてロマンチックなのだ。
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旧市街に入って最初に目に付く大きな建物は、1245年に建てられたというベギン会院。今はベネディクト派の修道女の皆さんが暮らしていて、ときおり敷地を歩いていたりする。その前を抜けてさらに奥へ。
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右:馬車道を少しそれると、人がやっとすれ違うことができるような細い路地があったりする。建物の間に架かっている橋も当時のままだ。
中世の街並みの中を歩いていると、馬車がやってきた! ますます中世の雰囲気を盛り上げてくれる。馬車以外に、運河クルーズ船に乗って、運河を巡りながら観光を楽しむこともできる。運河が重要な交通路だった中世さながらに、運河から見上げる街の風景も趣深い。
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この街には、ダイヤモンドの歴史を学び研磨の実演を見学することができるダイヤモンド博物館や、古代アステカの時代から始まるチョコレートの歴史や生産工程を知ることができる、「チョコ・ストーリー」と名づけられた博物館など、興味深い施設もある。
チョコ・ストーリーに行ってから、「ゴディバ」や「ピエール マルコリーニ」のチョコレートをほおばるというのもオススメだ。
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ベルギーは、季節によってはよく雨が降る。街の中心にあるマルクト広場にさしかかったところで雨が降ってきた。雨脚はどんどん強くなる。居合わせた物同士で譲り合って雨宿り。雨は冷たくても心は温まることができた。
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2016.03.20(日)
文・撮影=たかせ藍沙