摘みたての野菜で味わうミシュラン3ツ星
ブルージュの夜は、ちょっぴり奮発して、2年連続でミシュラン3ツ星に選ばれたレストランへ。ブルージュ駅からタクシーで15分ほどの場所にある「ヘルトフ・ヤン」だ。以前はブルージュ市内にあったが、2014年に現在の場所に移転。その理由は、料理で使うための野菜を自家栽培するため。なんて素敵な理由!
レストランに着いて予約名を告げると、まずは「ジャパニーズレッドバジル」のジュースを手渡された。「えっ? 日本のバジル??」と思って一口飲んでびっくり。紫蘇だった! 続いて「よろしかったら畑をご覧ください」と促される。車寄せと反対側に野菜畑が広がっていた。
畑をひとまわりしてから戻ると、テーブルに案内してくれた。途中、レンガ造りのワインセラーを通りかかった。厨房スタッフは農場で見かけるような作業服を着ている。フロアスタッフも、白いシャツに革のエプロンというスタイル。ワインクーラーはアルミのバケツだ。
選んだのはスターター2品、小さなメインディッシュ、デザートという軽めのコース。
まずはシャンパンとアミューズ3品。アミューズは、すり下ろしたからすみと食用花を載せたキュウリとイクラ、ベリー系フルーツと鴨のレバーなど、手が込んでいる。飲み物はワインペアリングにしてもらった。でも、ここはベルギー。「いくつかはビールペアリングにできるかしら?」と聞くと、「もちろん、ご用意できます」と即答。なんて楽しみな!
そして、1皿目のスターターが運ばれて来た途端、「わーっ、きれい!」と思わず声をあげてしまった。タイトルは「トマトのコレクション2015」。
トマトとスイカ、チーズなどが、食べるのが惜しいくらいカラフルに美しくレイアウトされ、トマトのエキスのジュースがかけられている。上に載せられたマリーゴールドとナスタチウムのアロマとコショウが、それぞれ微妙に違うトマトの味の輪郭を際立たせていた。ヘルトン・ヤンの野菜畑では、なんと102種類のトマトが栽培されているのだという。
2皿目は真っ赤な薔薇! 一気にテンションが上がった。実は私、薔薇のムック『LOVE! ROSE』を出版したことがあるほど薔薇が大好きなのだもの。そこに魚介のスープが注がれた。デーツで造られた薔薇の下には魚のマリネとラズベリーが隠れている。
この1皿がビールペアリングとなった。ローデンバッハ・キャラクテール・ルージュという、チェリーやラズベリー、クランベリーを加えて樽の中で2年熟成させ、さらに6カ月発酵させたルビーレッドのビールだ。料理もビールもベリー系でベストマッチだった。
メインの和牛ストロガノフに続く、最後のデザートもまた素晴らしかった。ボール状のアイス、ブルーベリーに、カラフルな花や花びらがちりばめてあった。まるで、小さなビスケットの上に花畑が載っているよう。
フルーツの弾力とアイスの柔らかさ、下に敷かれたビスケットのサクサク感、そして、ときおりひんやりするアイスの刺激。口の中には酸味と甘み、様々な食感と温度が入れ違いに押し寄せてきて、なんてエンターテインメントなデザートだこと!
食後はクッキーとチョコレートに、摘みたてのフレッシュハーブを使ったハーブティ。食事もサービスも雰囲気も、すべてが行き届いた素晴らしいレストランだった。機会があったら再訪したいと心から思ったのだった。
右:食後にキッチンを見せてもらった。きびきびと働いている厨房スタッフのユニフォームは、そのまま農作業ができそうな作業服!
Hertog Jan(ヘルトフ・ヤン)
所在地 Loppemsestraat 52, 8210 Zedelgem, Belgium
電話場号 050-67-34-46
URL http://www.hertog-jan.com/
【取材協力】
ベルギー・フランダース政府観光局
URL http://www.hollandflanders.jp/
Belgian Family Brewers(ベルギー・ファミリー・ブリュワーズ)
URL http://belgianfamilybrewers.be/
KLMオランダ航空
URL http://klm.co.jp/
ベルギービールを堪能する旅へ
2016.03.20(日)
文・撮影=たかせ藍沙
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