ベルギーの代名詞といえば、ビール。九州よりも小さいというこの国では、数々の醸造所が、競うように個性にあふれたビールを世に送り出しています。この短期集中連載では、ブリュッセル、アントワープ、ブルージュなど、ベルギーの各地をトラベルライターのたかせ藍沙さんが旅し、ビールに酔いしれるとともに街の魅力をレポート。
第2回は、あの児童文学の舞台としても知られるアントワープを訪れます。
あのドリス・ヴァン・ノッテンを育んだ街
ベルギーは九州よりもひとまわり小さく、どこへ行くにも日帰りで充分という、小回りが利く国。首都のブリュッセルの次に取材したのは、ブリュッセルから北へ約45キロメートルの場所にあるアントワープだ。
この町はブリュッセルよりも面積が広く、広大な港湾施設もあり、経済の中心として発展してきた。今では、ベルギーのファッションの発信地として様々なデザイナーが活躍している街でもある。
街を歩いているとほんとうにブティックが多く、ウインドーショッピングだけでもかなり楽しめてしまうほど。その理由は、この町にあるアントワープ王立芸術アカデミーにはファッション科があり、数多くのデザイナーを輩出しているからなのだ。
そのひとつが、東京、大阪をはじめ世界400店舗をもつ高級ブランドで、ナショナルストリートにある「ドリス・ヴァン・ノッテン」。3代続くテーラーの家に1958年に生まれ、ベルギーのファッションシーンをけん引している。
Dries Van Noten(ドリス・ヴァン・ノッテン)
所在地 Nationalestraat 16, 2000 Antwerpen, Belgium
電話番号 03-470-25-10
URL http://www.driesvannoten.jp/
現在ではその次の世代のデザイナー達が活躍している。その中には日本人デザイナーも。「サロン・ヴァン・ホンゴウ」の本郷いづみさんだ。大人の女性に似合いそうな、エレガントで着心地のいい服をデザインしている。
Salon Van Hongo(サロン・ヴァン・ホンゴウ)
所在地 Scheldestraat 98, 2000 Antwerpen, Belgium
電話番号 0494-83-93-23
URL http://www.vanhongo.com/
また、アントワープには、ベルギーを代表するショコラティエ、「ザ・チョコレート・ライン」の最も大きな店舗がある。
コロニアル調の白亜の建物の中は、まるでお城のような造り。奥に行くとチョコレートを作っているところも見学することができるし、名前を入れてもらったりもできる。なかには、ワサビや酒といった、日本のフレーバーのチョコレートも。色も形も味もさまざまな宝石のようなチョコレートから、好みのものを選ぶことができる。
アントワープでは、ゆっくりと時間を取ってショッピングを楽しみたい。
The Chocolate Line(ザ・チョコレート・ライン)
所在地 Paleis op de Meir 50, 2000 Antwerpen, Belgium
電話番号 03-206-20-30
URL http://www.thechocolateline.be/
そして、街歩きで疲れたら、やっぱりビール!(笑) ここベルギーでは、コーヒーを飲んでいる場合ではないのだ。
1565年オープンという、アントワープでもっとも古いカフェ「カフェ・クイントン・マセイス」は、なんと、オーナーご夫妻の奥様が日本人。「カフェ」は、ベルギーでは喫茶店ではなく、「ビアカフェ」のこと。つまり、ビールを飲むための場所なのだ。
「カフェ・クイントン・マセイス」には、その昔、馬車で人々が訪れた。店内には馬も繋がれ、2階には、ビールを飲んだ後に、そのまま宿泊する人もいたという。アンティークに囲まれて、古き良き時代に思いを馳せながらベルギービールを楽しむことができる。あとは、数あるビールの中から好みのビールを選ぶだけ。これでアントワープの街歩きは完璧!(笑)
Café Quinten Matsijs(カフェ・クイントン・マセイス)
所在地 Moriaanstraat 17, 2000 Antwerpen, Belgium
電話番号 03-225-01-70
URL http://ameblo.jp/madamequinten
2016.03.13(日)
文・撮影=たかせ藍沙