チーズと合わせてビールをテイスティング

「デ・コーニンク・ビール・エクスペリエンス・センター」の出口を抜けた階下にはビアカフェが。

 「デ・コーニンク・ビール・エクスペリエンス・センター」の出口の下には、ビアカフェが。楽しくビールの歴史や造り方を学んだ後だけに、すっかりビールを飲みたい気分にさせられていたところだった。これは、完璧な動線としか言いようがない(笑)。

左:ズラリと下がったグラスに次々とビールが注がれていく。
右:それぞれのビールはプロが注いでくれる。やっぱり注ぎ方が違う!

 既に何人かが大きなカウンターでビールをオーダーして楽しんでいた。で、その前にと思って、カウンターの写真を撮っていて振り向いたら誰もいない! 「あれ? 皆さんどこに行っちゃったの?」と、慌ててカウンター内の方に聞いても分からず。しばし探したところ、階段を降りたところにテイスティングルームがあった!

 ということで、ベルギービールとチーズをペアリングしたテイスティングが始まった。チーズも自社で作っているだけあって、どれも絶妙の組み合わせだ。

5種類のビールをテイスティング。右からデ・コーニンク、ワイルド・ジョー、デュベル、テスティング・ブリュー、リーフマンス。ベルギービールは、それぞれのビールがもっとも美味しくなるようにするためのオリジナルグラスがある。4番目の新作は、まだグラスがないためワイルド・ジョーのグラスで代用。

 まずは、キャラメルと、微かにシナモンとホップの香りがするデ・コーニンク。1920年代に造られたペールエールで、ビターな味わい。合わせるのはフランス産の山羊のドライチーズ。導入としては良い感じ。

 次のビールは、なんとも強そうなネーミングのワイルド・ジョー。瓶内で6カ月間発酵させた、やや酸味のあるドライビールで、こちらもフランスのプロヴァンス地方の山羊のフルーティでクリーミィなチーズと。

左:デュベルのグラスの底には、小さな「D」のイニシャルが彫られている。
右:ビールとペアリングされたチーズとチョコレート。なぜか、ビールは右から、チーズとチョコレートは左からという並びだった(笑)。

 そして、3番目のビールは日本でもお馴染みの「デュベル」。8.5%とアルコール度数が高いので、15~20分かけてゆっくり飲むのがベルギー流。そのため泡を長持ちさせるためにクラスの口が細くなっている。ドライでビターなこのビールに合わせるのは、フランスの濃厚な牛のチーズだ。

 4番目のビールは、濃いブラウン色をしたテスティング・ブリュー。「テスティング」と付いている通り、まだテスト段階という新発売の限定ビールだ。こちらもアルコール度数が高くて7.8%。シトラスの香り、そして後からほのかな甘みがやってくる。

 このビールにはチーズではなくチョコレート。「ウイスキーとチョコレートが合うなら、ビールとチョコレートも合うはず」という発想から生まれたのだという。なるほど、そう思っていただくと口の中で決してケンカせず、チョコレートによく合う。

 そして最後は、こちらも日本でよく見かける赤いビール、「リーフマンス」。女性ファンが多い、チェリー味のフルーティで甘いビールだ。合わせるのはイギリスのブルーチーズ、スティルトン。甘いビールと、クリーミーで酸味のあるチーズが良い感じ。まだまだ取材があるので、ビールはテイスティングだけで我慢(笑)。

 それぞれのビールにそれぞれのチーズとチョコレート。今まで私はビールに合うのはスモークチーズだと決めつけていたのだけど、ベルギーの個性豊かなビールには個性豊かなチーズが合うと発見できた貴重なテイスティング体験だった。

ビアカフェの出口には、これもお約束のショップが。ベルギーピールは容器をリサイクルではなく、洗ってリユースするので、缶ビールがない。素晴らしいことだと思うのだけど、日本に持ち帰るにはちょっと重いのが難点!
ビール以外にも、ロゴ入りのトレーナーからビール小物まで様々なビール関連グッズが手に入る。

Brewery De Koninck(デ・コーニンク醸造所)
所在地 Mechelsesteenweg 291, 2018 Antwerpen, Belgium
電話番号 03-866-96-90
URL http://www.dekoninck.be/

2016.03.13(日)
文・撮影=たかせ藍沙