さりげない気配りと
スイーツラバーの心をつかむ品々

 続いて、鯛のグリルが登場。バターソテーしたケールとターメリックのソース添え。

パリッと焼き上がった皮目が香ばしい。

 ついにメインディッシュ。岡山で収穫された鹿がやってきた。そういえば、モミジドリは鹿の異名だ。

こごみやフキノトウを添えて春の装い。

 濃厚な赤ワインソースにロブションの片鱗を感じるが、これもまたスパイス使いが巧み。

 「スパイスを使うことで、バターやクリームを減らす効果があるんです。軽い仕上がりにもなるので、食後感もいいと思います」。なるほど。

 このあと、サプライズがあった。

 この日は友人の誕生会という趣向だったが、そのためにシェフがスペシャルなケーキを用意してくれたのだ。

見事なイチゴのミルフィーユ。

 低くかかっていた店内のBGMが変わり、インストゥルメンタルの「Happy Birthday to You」になった。スパイス使いだけでなく、演出もさりげないのだな、と感心する。

 そして、定番で出しているという和三盆と豆乳のプリン。これもうまい。7種のスパイスを使っているからこその深い味わい。そして、焼き菓子。これらすべてをシェフひとりで作っているというからすばらしいではないか。

 さらにこのコースの価格もすばらしい、なんと8,000円(税別)だ。

よくある「甘さ控えめ」とは違うテイストで、ほっこり。

 最後にコーヒーや紅茶をいただくが、私たち全員が気に入ったのがサマハンというスリカンカ産のお茶。アーユルヴェーダ・ティーでもあり、飲めば身体がポカポカとしてくる。「風邪のひきはじめにもよさそう」と言ったら、「自分はもっぱら薬など飲まずにこれです」とシェフ。店内には10包入りのボックスも置いてあり、買うこともできるという。

そのひと声で「僕も」「私も」と全員が購入した。

 肩を寄せ合い、スパイスの香りに包まれながらの会食は、こうして愉快に〆られたのであった。

モミジドリ
所在地 非公開(東京都中央区築地)
電話番号 非公開(予約は下記URL記載のメールアドレスへ)
営業時間 18:00~23:00
定休日 なし
予算 8,000円~
http://www.tsukiji.tokyo.jp/
[2017年2月訪問]

Keiko Spice(けいこ すぱいす)
東京都生まれ。得意なディスティネーションはハワイと香港。普段は3日に1回のペースで焼肉を中心とした食生活。別名「肉の妖精」。

 

Column

新店来訪! 美味しい出合いに一番乗り

ニューオープン、シェフやメニューが変わった店、面白い企画を立ち上げた店……などなど、なにかと「新しい」店を一番乗りで紹介するページ。「美味しい出合い」にご注目ください!

2017.05.15(月)
文・撮影=Keiko Spice