青野さんが選ぶ、「音の情報量を感じる」PLAYLIST
◆ ジ・エンド/モルンバール・アヴ・ヨン
ノイズも耳に心地よく聴こえます
スウェーデンのレコードレーベルのオーナーでありアートディレクターのヨン・ヘンリクソンによるプロジェクト。
「リサイクルショップのレコードや昔のラジオやテレビ放送の音などが音源に使用され、ずっとノイズが入っていますが、それが心地よく聴こえます」(青野さん)
◆ clair-obscur/中島ノブユキ
空間そのものを再現してくれる
ピアニスト/作曲家・中島ノブユキの2作目となるアルバム。
「ホールで録音され、その空間性を大切にした作品です。残響がありますが、OTTAVAで聴くと音の輪郭がしっかりしているのでモヤッとせず、アンビエンスとピアノの実音がバランスよく聴こえます」(青野さん)
◆ エレーニア/フローティング・ポインツ
連続する電子音が心地よい
フローティング・ポインツことサム・シェパードのデビューアルバム。
「電子ジャズで、全体的に音の分離がいいですね。細かい電子音のレイヤーがちゃんと聴こえます。それぞれの音の関連性もよく、表現力がある。小さい音で聴いても十分に楽しめます」(青野さん)
◆ ナイト・ライツ+1/ジェリー・マリガン
夜のしっとりとした空気に包まれます
1963年に録音されたバリトン・サックス奏者ジェリー・マリガンのアルバム。
「ドラムのシンバルレガートの音やブラシのこする音がちゃんと再現できています。音量を落としてもウッドベースのふくよかな音がしっかりと聴こえる。音のバランスがいいですね」(青野さん)
◆ Gorthleck / Smith & Mudd
異国へとトリップさせてくれる
ポール・マーフィーとB.J.スミスのユニットによる、UKモダン・バレアリックスタイルの名盤。
「ディテールに輪郭があり、近くで演奏している感じがちゃんと表現されています。生音と電子楽器がいいバランスで合わさって聴こえる点も素晴らしい」(青野さん)
◆ ユー&アイ~四季の歌/アラ・ニ
温かみのあるボーカルを存分に堪能
4枚のEP「Spring」「Summer」「Fall」「Winter」を1年間の物語として1枚にまとめた、アラ・ニのデビューアルバム。
「ビンテージっぽい音がしっかりと聴けます。冷たい感じもなく、アナログっぽい温もりにあふれた雰囲気がいいですね」(青野さん)
青野賢一(あおの・けんいち)
1968年東京生まれ。BEAMS創造研究所クリエイティブディレクター、BEAMS RECORDSディレクター。執筆、編集、選曲、大学や専門学校の講師、他企業の販促企画やイベントの企画運営、他ブランドのクリエイティブディレクションなどを行う。DJ、選曲家として都内のクラブやラウンジスペース、ファッションショー、レセプションパーティなどでも活躍中。
2016.10.14(金)
text=Hiroya Ishikawa
photographs=Norio Kidera、Masanori Wada