ババアの不良はあまり推奨されない

しまおさんは、文芸誌「文學界」で小説「スーベニア」を連載するなど、活動の幅をさらに広げ続ける。

――じゃあ、次。「男の甲冑っていうのはどんなものがあると思いますか?」。

しまお 格闘技とか。

ジェーン スーツもそうだしね。時計、ネクタイ、肩書き。

しまお 彼女っていうのも。

ジェーン 車とか。

しまお 会場にいる男性に聞いてみましょうか? 男の甲冑は重いですか?

会場の男性 重たいです。

しまお 重たい? 何が一番重いですか?

会場の男性 不良っぽいアイテムとか。

ジェーン ああ。きついですね、オラオラカルチャーね。

しまお なるほど。

ジェーン あれ、ご愁傷さまだなと思いますよ。女はないんですよ。ババアの不良があんまり推奨されないんで。ちょいワルババアとかいわないじゃないですか。でも、ジジイはいつまでたっても、オラオラしたりちょいワルになったり。太いウェリントンの眼鏡して、ツーブロックで、焼いてて、クロムハーツ的なアクセサリーを身に付けて。あれ、きついですよね。

しまお なるほど、なるほど。

ジェーン あれは本当に大変だと思う。

しまお そういうのに気後れしたり。

ジェーン あれが良しとされて、そういう人たちが集まって、隣のテーブルで大きな声でしゃべりながらご飯食べててごらんなさいよ。あ~、同性だったらすごいストレスだな。だってうるさいのに強そう。

しまお でも、「女の子と仲良くする男の人」みたいなポジションあるじゃないですか。そういう男の人だったらなってもいいかなと思うんですけどね。

ジェーン ああ。おばちゃん男子みたいな。

しまお そうですね。適度に男っぽくて。

ジェーン それ、メッチャ都合いいですよ(笑)。

――では、そろそろ締めたいと思います。今日は本当にお集まりいただいてありがとうございました。

ジェーン・しまお ありがとうございました。

ジェーン・スー
作詞家/ラジオパーソナリティ/コラムニスト。著書に『私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな』(ポプラ社)、『ジェーン・スー 相談は踊る』(ポプラ社)など。『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』で第31回講談社エッセイ賞を受賞。TBSラジオ「ジェーン・スー 生活は踊る」(月~金、11:00~13:00)が放送中。

しまおまほ
エッセイスト。1997年に漫画『女子高生ゴリコ』(扶桑社)でデビュー後、漫画やエッセイを執筆する他、TBSラジオ「ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル」にレギュラー出演するなど、幅広く活躍を続ける。現在、「文學界」に小説「スーベニア」を連載中。著書に『マイ・リトル・世田谷』(スペースシャワーネットワーク)など。

女の甲冑、着たり脱いだり毎日が戦なり。

著 ジェーン・スー
本体1,300円+税 文藝春秋

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