次回作も韓流ラブストーリー
――昨年15年に韓国で公開され、大ヒット。ミニシアターブームを作ったとのことですが、岩瀬さん自身が感じた反響や反応について教えてください。
ティーチインでは大勢のお客さんが手を挙げてくれるぐらい、いい反応でビックリしました。そこでは、是枝裕和監督やリチャード・リンクレーター監督の作品と比較されることも多かったです。それに、リピーターの方も多くて、なかには10回以上観られた方もいますし、この映画を観たことがきっかけで、五條に旅行に行かれた方も多かったです。韓国ではこれまで海外に女性が一人旅に行く文化があまり一般的ではなく、近年流行し始めているという話を聞き、そこがこの映画の人々を惹きつける魅力の一つになっているのかもしれません。今でも海外の映画祭を回っていますし、韓国でも先日、初公開から1周年を記念した上映会も開かれましたし、息の長い作品になっています。
――この作品を機に韓国映画のオファーがありましたか?
『ひと夏のファンタジア』はいろんな偶然が重なった映画ですが、去年の秋に『最悪の一日(原題)』(全州映画祭上映時タイトルは『最悪の女』)というラブコメディの出演依頼が来ました。主演は『海にかかる霧』のハン・イェリさんで、僕は日本人の作家の役を演じています。今年、韓国で公開される予定ですが、この作品によって、さらに新たなことに繋がっていくといいと思います。
――現在、フリーとして活動されていますが、今後の展望・目標などを教えてください。
現在フリーになって、人との繋がりの大切さを日々感じているんです。だから、一期一会じゃないですが、ひとつひとつの出会いを大切にしていけば、今後もいい作品作りに関わり続けられるんじゃないか、と思っています。将来、たとえば黒沢清監督の作品にも出てみたいですが、韓国映画に出たこともあって、今後も海外の方と仕事をしてみたいという欲求は高まりました。近い将来、監督もやりたいとは思いますが、軽々しくは撮れない気がします。周りの監督さんを見ていると、命削っているなという感じがしますから。
2016.07.08(金)
文=くれい響
撮影=佐藤 亘