記憶に残る料理の数々はお任せで!

プリップリの海老に爽やかな茶の香りをまとった龍井蝦仁。

  ところで、江南料理とはどんなもの?

 一般的に北京、上海、四川、広東が、4大料理として知られている中国料理。そのなかでも、江南料理は上海料理の分類で、揚子江の南あたりの料理。

 揚子江の自然に恵まれた江南地方は「魚米之郷(ぎょまいのさと)」と呼ばれ、稲作が盛ん。魚介類も豊富に水揚げされるため、さまざまな食材で幅広い料理が作られてきた土地だという。

獅子頭。オープン前から、これをシグネチャーメニューにしようと思っていたそう。

 今回、憶江南を開くにあたって登場したメニューが、獅子頭(大きな大きな肉団子。伝統的な上海醤油煮込み)。江南地方を代表する調理法を用いた紅焼料理です。

 醤油、砂糖、紹興酒で味付けされる紅焼料理は日本人好み! 豚ひき肉とサトイモでつくられた団子のふわっとした中にクワイのシャキシャキとした歯ごたえがアクセント。

ほかに、ナマコ(お任せの特別料理)や、皮付き豚スネ肉の醤油煮込みなども紅焼料理。

 気軽に使えるランチは平日1,000円~、土・日曜、祝日は1,680円~。ディナーは、コースの場合は6,500円、8,000円、10,000円の3つを用意。

 もちろん、広尾店でも人気のよだれ鶏やそのタレでいただく焼き餃子も単品注文可能。餃子は中の具を肉メインにし、よりジューシーな仕上げになっている。

ピリカラな刺激がたまらない四川系料理もある。お好みに合わせてどうぞ。

 今も年に1回は中国に飛び、現地の食トレンドをキャッチしている山口氏。本場で学んだ乞食鶏や、蘇州名菜の松鼠を模った魚の丸揚げなど、事前予約が必要な逸品もすばらしい。

 また、8,000円から注文可能のお任せ料理は、常に予想以上のものを提供してくれる。

お任せ料理で砂鍋雲吞鶏をお願いしたら、この日は老鴨を使った嘉興老鴨保に!

 「もっと奥深く中華料理を知ってほしい」という山口氏。あの日、中国料理に魅せられた少年の心は、今もそのままだ。

 食後に、漢詩「憶江南」の一節、「能不憶江南(どうして江南を慕わずにいれよう)」が頭の中をよぎる。記憶に残るひと皿をいただきに、また中目黒まで足を運ばずにいられない。

JASMINE 憶江南(ジャスミン イージャンナン)
所在地 東京都目黒区東山1-22-3
電話番号 03-6303-1927
営業時間 ランチ 11:30~14:30(L.O.)、ディナー 18:00~22:00(L.O.)
定休日 無休
予算 ランチ 1,200円~、ディナー 6,000円~、アラカルトあり
URL http://nakameguro.jasmine310.com/
[2016年3月、4月、5月訪問]

Keiko Spice(けいこ すぱいす)
東京都生まれ。得意なディスティネーションはハワイと香港。普段は3日に1回のペースで焼肉を中心とした食生活。別名「肉の妖精」。

Column

新店来訪! 美味しい出合いに一番乗り

ニューオープン、シェフやメニューが変わった店、面白い企画を立ち上げた店……などなど、なにかと「新しい」店を一番乗りで紹介するページ。「美味しい出合い」にご注目ください!

2016.06.20(月)
文・撮影=Keiko Spice