世界を旅する女性トラベルライターが、これまでデジカメのメモリーの奥に眠らせたままだった小ネタをお蔵出しするのがこのコラム。敏腕の4人が、交替で登板します。

 第128回は、たかせ藍沙さんがアテネの名所を巡ります!

えっ? 遺跡の門が閉まってる!?

まずはホテルの最上階に上らせてもらってアクロポリス遺跡を確認。中央のビルの上に小さく見えているのがわかるだろうか。

トルコで結婚式に出席した後、ギリシャのアテネに足を延ばした。理由は、まだ行ったことがなかったことと、イスタンブールからたったの1時間30分というご近所だったこと。そんな理由で、2泊だけふらりと立ち寄ったのだった。

 空港から、街の中心にあるシンタグマ広場に面したホテルへ。たったの2泊なので、ホテルは地の利を最優先で選んだ。午後2時過ぎ、荷物を置いて早速アクロポリスへと向かった。シンタグマ広場は、アクロポリス遺跡やゼウス神殿など、市内の多くの見どころが徒歩圏内というロケーションだ。

散歩気分でアクロポリス遺跡を目指す。遺跡の目の前にあるレストラン「ケーブ・オブ・アクロポリス」はにぎわっていた。私が迷っていると、店主が入り口を教えてくれた。

 市内の写真を撮ったり、客待ちのレストラン店主とおしゃべりしたりしながら、坂を上ってアクロポリス遺跡を目指した。遺跡の柵のすぐ外にあるレストランの店主から、「入り口はあっちだよ」と教えてもらった方角に歩いていくと、門が見えてきた。「あれ、まさか? 門が閉まってる!!!」

あれ、まさか? 門が閉まってる!!!

 時刻は午後3時。門に掲げられた看板には、「OPEN 8:00/CLOSE 14:30」と書いてあった! 確かに、ガイドブックには、季節によって開門時間は変わるし、たびたび変更になると書いてあるけれど、午前8時から午後8時までとなっていたから、午後3時なら入れると思ったのだった。なぜそんなに早くに閉まるのか……、涙。

 がっくり肩を落としていると、門の前にいたラテン系の男性ふたりと目が合う。「ひどいよね。僕たちはメキシコから来たんだけど、明日には帰らないといけないから、もう中を見ることができないんだ」。「なんて残念なの!!」と、それ以上は言葉をかけられなかった。だって、私にはもう1日あったから。

左:初日は遺跡には入れなかったので、近くの丘から眺めた。
右:丘を降りる途中、細い路地をくねくね辿っていった。その途中で出会ったギリシャのイケメンと犬。疲れが少し癒された(笑)。

 アクロポリス遺跡は翌日に再訪することにして、周囲を見回すと、私が来た道とは逆側に向かう人の姿がちらほら。何があるのかしらと付いていくと、小高い丘があった。アクロポリスが閉まっていたからか、多くの人が離れた場所にあるアクロポリスや、眼下に見下ろすアテネ市内を眺めていた。

左:ギリシャ初日の夕食はギリシャサラダがメイン。香ばしく焼かれたパンと野菜、そしてチーズが胃袋にしみた!
右:「ケーブ・オブ・アクロポリス」の店主。このレストランは、40年以上も続く老舗なのだとか。

 暗くなる前にと丘を降りて、来た道を下った。ホテルの近くで夕食をと思っていたのだけれど、疲れてしまったので、先ほど店主とおしゃべりをしたレストラン「ケーブ・オブ・アクロポリス」で、休憩がてら早めの夕食をいただくことにした。

 今思えば、最初に通りかかったときに座っていた人たちは、門が閉まって遺跡から降りて来た人たちなのだった。スープでひと息ついてから、ギリシャサラダを。こんがり焼いたパンの香ばしさと、シャキシャキとした野菜にチーズがよく合って、すっかりお腹がいっぱいになった。

Cave of Acropolis(ケーブ・オブ・アクロポリス)
所在地 Thrassilou 24, Plaka, Athens, Greece
電話 210-3248593
URL http://www.spilia-akropolis.gr/

ショップが軒を連ねるヴィロノス通り。

 坂を下ると、カフェやショップが軒を連ねるエリアがあった。いくつかの路地があるなかで、政府観光局にほど近いヴィロノス通りで、オーガニック化粧品のお店「アマルティアス」を見つけた。ここで私が大好きな薔薇製品も発見。いくつか買い物をして、すっかりご機嫌になってホテルに戻ったのだった。

左:店内にはギリシャ伝統のオーガニックコスメを始めとするナチュラルプロダクツがズラリと並ぶ。仲のいいご夫婦の経営というのもいい感じ。
右:石けんの種類も豊富。どれもとてもいい香りがした。

Amalthia's(アマルティアス)
所在地 Vironos 9, Plaka, Athens, Greece
電話 210-3313929

2016.04.08(金)
文・撮影=たかせ藍沙