#056 Pelion Peninsula
ピリオン半島(ギリシャ)

テサリア地方では現実と神話の境界線があやふや

ミリナという町の船着き場からパガシティコス湾のクルーズへ出発! といっても、漁船に毛が生えた感じの船ですが。

 ピリオン半島が位置するのは、ギリシャ中部の本土側のテサリア地方。エーゲ海からパガシティコス湾を守るようにのびた半島です。エーゲ海側の沖には、スコペロス島やスキアトス島が浮かんでいます。と聞いて、頭の中に地図が描ける人は少ないかもしれません……。

パガシティコス湾を航行中にみかけたビザンチン様式の教会。今は使われていないそうです。

 日本では馴染みの薄いテサリア地方。ここでは、ギリシャ神話がご近所の世間話のように会話にのぼり、ケンタウロス族のケイロンやアルゴー船のイアソンがまるで遠い親戚のように扱われていることに驚かされます。ごく当たり前に神々の名前が出て、あの山に住んでいたと、指さして教えてもらうと、つい実在していたのかと信じてしまいます。どうも、ここは現実と神話の境界線があやふやです。

パレオ・トリケリ島の港では毎日、祝宴!?

 ピリオン半島はギリシャの神々が婚礼や祝宴を開くのに選ぶ地なのだそうです。神々にとってのハネムーンの聖地とでも言ったら、バチあたりでしょうか。でも、ピリオン半島の、時間が止まったようなゆったりした空気感、地元の人々の温かいもてなしは、穏やかな気持ちにさせてくれて、気付くと、いつも笑顔を浮かべている。そんなほどよい多幸感に包まれています。

ギリシャ語の看板によると、これがタクシーらしきボート。英語表示があまりないのも、観光地化されていないからでしょうか。

2015.05.02(土)
文・撮影=古関千恵子