港の食堂のシーフードのクオリティに驚愕!

オリーブ畑に囲まれた、ペリオンルーフのおうちがポツン。

 印象深かったのは、パガシティコス湾の1日クルーズ。

 クルーズといっても、乗り込む船は、目玉のような魔よけを天井から吊るした、漁船のような色気のない佇まいですが。その船で軽やかなブルーの澄んだ湾内を進むと、今は廃墟となったビザンチン時代の石積みの教会や、いくつもの洞窟が口を開いた岩壁、“ぺリオンルーフ”と呼ばれるオレンジ色の瓦屋根の民家などを通り過ぎます。そしてたどり着いたのが、パレオ・トリケリ島。

左:パレオ・トリケリ島の港で、釣りから戻ってきた男性の両手にはみごとな釣果が。
右:タベルナ“イサロス”のスカンピのスパゲッティ! 夢にまで見るほどの美味しさ!

 投錨して、立ち寄った港の食堂“イサロス”が、「どうしてこんなところに!?」と驚くほど、美味! ツナサラダ、タコの塩焼き、イカのフライ、スカンピのパスタ、凝った料理ではないのだけれど、口に運ぶたびに歓喜の声が止まらない。美味しさの秘訣を店のご主人にたずねると「新鮮な材料を使うからね」。とれたて、偉大!

釣り道具の手入れをする地元の漁師さんたち。
こちらはダムハリビーチ近く、17世紀に建造されたバシリカ様式のアギア・マリーナ教会。

 パレオ・トリケリ島は車やバイクがなく、交通手段はロバ。そして島内にキジがいるから、鳥たちがついばむオリーブの木に農薬を使わないという、スローライフな島です。小道をのぼって行くと、小さなアトス様式のマリア・パナギア教会にたどり着きます。

 この教会にはこんな言い伝えがあります。1825年9月9日、庭のオリーブの木の下を掘ったら、美しいイコンが見つかった。それ以来、このイコンが数々の奇跡を起こし、願いが叶った方がお礼参りにやってくるとか。ちなみに、ギリシャ正教では偶像崇拝を禁じているため、キリスト像などはなく、精緻に描かれたイコンが飾られています。

2015.05.02(土)
文・撮影=古関千恵子