世界を旅する女性トラベルライターが、これまでデジカメのメモリーの奥に眠らせたままだった小ネタをお蔵出しするのがこのコラム。敏腕の4人が、週替わりで登板します。
第116回は、たかせ藍沙さんが、トルコならではの結婚式の熱狂の模様をお届けします!
トルコの湘南、チャナッカレってどんな町?
とある案件でターキッシュ エアラインズの西日本・中部地区支社長、ジェム・アルデミルさんと連絡をとっていたときのこと。朝一番で、メッセージが届いた。「おはようございます。報告です」という短い文章と、イラスト入りのかわいいカード。結婚式の招待状だった。
そこに描かれたお嫁さんの似顔絵と名前を見て、びっくり仰天! えーーー!!! 東京で広報宣伝部長をされていたときに部下として働いていらした田中優姫さんではないですか!!! すかさず優姫さんからもメッセージが。「いま一緒におります。ぜひトルコに来てください」と。「わわわっ、スケジュール確認します!」
ということで、すぐにスケジュールを調整してトルコ行きを決めた。だって、トルコ式の結婚式だなんて興味津々だし、何より、それを理由に大好きなトルコに行けるのだから。以前、ジェムさんが、女優さんを連れて故郷に帰ってレポートするテレビ番組を観たことがあった。それはそれは陽気なご家族で、ジェムさんの出身地であるチャナッカレという町にも興味があった。
日本からの結婚式参列者の皆さんとイスタンブールで合流し、大型バスで一路チャナッカレへと向かった。
チャナッカレは、エーゲ海に面した人口11万人あまりの町で、トルコの湘南のようなところ、と聞いていた。トロイ遺跡観光の起点として旅行者が訪れる町でもある。イスタンブールから国内線のフライトもあるが、1日1便、深夜の時間帯しかなかったので、6時間かけての陸路移動となった。イスタンブールからは一路西へ。最後にフェリーで海を渡るとチャナッカレの町だ。
さっそく町を散策にでかけた。まずは、滞在ホテルから15分ほどメインストリートを歩いて港へ。遅めのランチ代わりに食べたい物があったので、港にあった観光案内所で聞いてみた。中に入ると、なんと、日本語のパンフレットもあった!
で、私が食べたかったのは、チャナッカレ名物のスイーツ「ペイニル・ヘルワス」。チーズのお菓子だ。観光案内所の裏手の道にいくつかお店があるという。そこで、時計台近くの、ショーウインドウに大きく「PEYNIR HELVASI」と書かれたお店に入った。
右:フライ返しのようなもので切り分けてから、なぜか(言葉が通じないので理由が聞けなかった)上から、パンパン! と2回叩かれた「ペイニル・ヘルワス」。
英語はほぼ通じない。スイーツの名前を確認して「ひとつ」と人差し指を立ててお願いすると、お店のご主人は、大きなバットに入ったペイニル・ヘルワスをフライ返しのようなもので四角く切り、お皿に載せて、パンパン! と上から2回叩いて(なぜ? 笑)テーブルに運んでくれた。にしても、飴色に焼き上がったお菓子は、チーズ味がわからないほど甘かった!
それから港沿いへ。そこには大きな木馬があった。映画『トロイ』の撮影で使われたものだという。このあたりには街路樹が並び、釣り糸を垂れる人がいたり、カフェやレストランが並んでいたりと、湘南というよりは、コートダジュールって言ってもいいかもしれないほどおしゃれな雰囲気だった。
そこで、ステキなカップルを発見。ブーケを持っているということは、結婚式帰り? 話しかけたところ、写真を撮らせてくれた。というか、一緒にいた皆さんがもの凄い勢いで私の写真を撮っていった(笑)。きっと東洋人が珍しかったに違いない。
ホテルに戻ると同じグループのご夫婦が何やら袋を持って戻られたところだった。「すぐそこに市場があって、すごく楽しかったわよ!」と奥様。さっそく行ってみた。
毎週開催だそうで、端から端まで歩くと20分以上かかりそうなほど大規模な市場だった。野菜、チーズ、スパイス、ナッツ、パスタなどの食品から、衣料品まで、ありとあらゆるものが並んでいて活気に満ちていた。ニンニクの束が壁のように積み上げられていてびっくり。買い物したい気持ちをぐっと抑えたけれど、なんて食生活が豊かな町だこと!
2015.12.15(火)
文・撮影=たかせ藍沙