いよいよ本番、Tボーンとごはんですよ
ごはんと赤だしもやってきた! おこげがあるのは微妙だが(お肉と一緒のときはちょっと余計な気がするという私感)、炊きたてつやつやだ。広大な肉骨プレートとごはん、実はありそうでなかなかないのですよ。
焼き面がバリッと焼けているのも好ましい。ここに塩気があるのでわさびをつけるだけでも十分においしい。サーロインは赤い部分がムチムチと熟れ、さすがの黒毛和牛だから甘みがとても強い。この甘みが、銘柄をすっかり失念したおいしい醤油とよく合う。熟成肉ならではの香りもふわりと漂い、炊きたてごはんのいいにおいと魅惑的に絡み合う。
そして、ヒレがまた秀逸だった。ヒレらしい繊細な身質がキラキラと輝くよう。ヒレは熟成で本当においしくなる。お肉の味がまろやかになる感じだ。まぐろのトロに近づくようなおいしくなり方で、ごはんが止まらないよ。
結構おなかがいっぱいになってしまったが、Tボーンを平らげたところで締めはイチボ。今度はフレッシュというか、和牛の醍醐味を味わう時間だ。イチボやランプ牛肉の象徴的な味。脂もちょうどいいし、ほどよい歯ごたえ・弾力があって大好きな部位だ。やはりわさび醤油でごはんにオン。……幸せである。
あまりに満たされてしまい、写真を撮るのを忘れたが、ごはんのあとに出てきたほうじ茶のおいしいことにびっくり。ごはんとお肉の脂が洗われるようなすっきりとしたお茶にホスピタリティを感じる。さらに、ここには巨大なコーヒーメーカーがあり、我々の目を釘付けにしていた。最後はそのマシーンが稼働するのも拝め、しっかりしたコーヒー、そしてまた妙においしい杏仁豆腐で食事を締めたのであった。
イタリア料理のTボーンステーキにごはんという夢の組み合わせ。きっと、少数かもしれないけれど心を鷲掴みにされる人が登場するお店である。きっとワインも合いますけどね。多分ね。
吉平
東京都中央区銀座7-2-8
電話番号 03-6274-6157
[2016年3月来訪]
北條芽以(ほうじょう めい)
神奈川県鎌倉市生まれ。情報誌編集者を経てフリーライター、料理本の編纂を行う。好きなのは炭水化物(特にごはん)とお肉の組み合わせ。お酒はあまり飲めない。「左手にごはん茶碗を!」
Column
北條芽以のLOVEレストラン
美味なるLOVEなひと皿を求めてレストランに通う日々。
著者が偏愛する、この季節、このお店のLOVEはいったい何? あなたの次のレストラン選びに参考になること間違いなし!
2016.03.24(木)
文・撮影=北條芽以