LOVE:「ステーキ・レボリューション」
最強ステーキ映画のあとに食べたステーキ
六本木|ウルフギャング・ステーキハウス
『ステーキ・レボリューション』という映画の試写会にお招きいただいた。シャロレー牛の繁殖農家で生まれ育ったフランク・リビエラ監督とパリ一番の精肉店・店主イヴ=マリ・ル=ブルドネック氏が世界最高のステーキを求めて旅するステーキ・ロードムービーだ。
究極の「肉メンタリー」を謳うだけあって、世界各国の生産者や精肉店、そしてステーキレストランを垣間見ることができて大満足。
特に、今、東京ではさまざまな牛を食べることができるが、顔までは知らなかったので、血統のいい牛たちの気品あふれる雰囲気に、動物好きの血が騒いだ。フランスのシャロレー牛は神馬顔負けの神々しさ。ほかにも、10歳オーバーの巨大な牛など、いろいろな意味で牛好きにはたまらない映画である。
さて、試写会に臨むにあたり、広報の方からは再三「食後のステーキハウスの予約をお忘れなく!」と言われていたし、資料にもそう書かれている。『チャーリーとチョコレート工場』を観るときにはたっぷりとチョコレートを買っておいた私であるが、いかんせん、最近疲労が溜まっていて消化力が弱い。久しくステーキを食べたい気持ちになっていないので、ちょっと油断してしまって、とりあえず丸腰で六本木の試写室へ向かった。
無論、映画にはたくさんのステーキが出てくる。かわいい牛も出てくるが、やはりムクムクと沸き上がるステーキ心(伊藤理佐先生『おいピータン!!』6巻「カレー心」参照)!
この映画、もうひとつの主役といっていいのがバター。特にフランスのシェフたちは肉を焼くときにとかくバターを入れる。既にバタージュワジュワなフライパンに、追いバターを投入、また投入。ステーキ心に加えてバター心まで刺激してくるのである!
映画が終わり、同業の友と開口一番「バターたっぷりめのステーキが食べたいね……」。同年代の胃弱同士の、消化力の衰えに対する不安を覆すこの映画、恐るべし。「ステーキ食べたくなるかわからないけど、肉が食べたくなったらしゃぶしゃぶでも行こう」なんて言っていた自分たちを呪うよ、まったく。
というわけで、会場を出るやいなや、この映画とのコラボ企画もあるという「ウルフギャング・ステーキハウス」に電話。予約不可のカウンター席はあいているというので、小走りに、どころか1メーター、タクシーに乗って駆けつける。
なんといっても、ウルフギャングには「ライス」がある。多少の肉もライスのクッションがあれば消化できる! というわけで、サラダ、ロブスターのビスク、ヒレステーキにつけ合わせはクリームスピナッチ、そしてライスを注文。つき出しのポテチを食べながら広島カープの最終戦を観る。初めてのカウンター、楽しいぞ!
2015.10.22(木)
文・撮影=北條芽以