LOVE:熟成肉
名人が生み出す肉料理は、こんなにも美味なのか!
西麻布|CARNEYA SANOMAN'S PURVEYORS
熟成肉、大ハヤリである。新しい肉の文化が定着するのは楽しいこと! だが、熟成肉は難しい。衛生管理をちゃんとしないと「これ、熟成じゃなくて腐敗だろ!」ということにもなりかねない。私もなんだか失敗してしまったような熟成肉の菌のなにかが体に合わないらしく、当たったような状態になったことも数回ある……。
そんなわけで、熟成肉ならなんでもOK☆ ではない私が絶大な信頼を置いている肉名人がふたりいる。ひとりは富士の裾野で100年以上営むお肉屋さん「さの萬」の佐野佳治さん。ドライエイジングビーフに惚れ込んで、協会まで作ってしまった熟成肉の核となる人物だ。そしてもうひとりは神楽坂「CARNEYA」の高山いさ己シェフで、言わずと知れた肉焼き名人である。おふたりがレストラン物件を探していると聞いて、いまかいまかと楽しみにしていたら、年末ついにソフトオープンとのお知らせが。いそいそせざるを得ない!
場所は、西麻布の交差点から広尾の方へ向かったところ。通りからも賑わいを垣間見られる幸せそうなレストランができていた。
お店に入るとウェルカム冷蔵庫が! 熟成された肉がさらしにくるまれて出番を待っている。肉好きはテンションの上がる風景である。
インテリアは高山さんっぽくかしこまりすぎない楽しい雰囲気で、サービスの男の子たちも元気だ。ソフトオープンなのでまだメニューはなく、コースが1本。それでも、「今日のお肉ですよ~」と見せていただき、どのお肉にしようかしら♪ という楽しみがあった。美しく紅色に仕上がった熟成肉、さすが佐野さんのお肉! 短角牛と、佐野さんはあまり熟成に使わないけれどあえて、と言っていた交雑種をセレクト。
前菜はクラブケーキ。そう、蟹ケーキ! 高山さん、こういうのも上手なんですかい! とびっくりするほどおいしかった。まったりとしたクラブケーキ、トップはこんがり。まるで蟹だらけのクリームコロッケである。トマトソースも実はとても好みのタイプである。
ふたつめの前菜は「牛肉のタルタル」。生肉調理審査を通過した、堂々生肉だ。久しぶりに食べたタルタルはやはりなんとも艶めかしくて、熟成肉ならではの香りを楽しむのにぴったり。まるで古典料理のような前菜2品の出来栄えに、高山シェフの底力を改めて見せつけられてしまいました。
2015.01.28(水)
文・撮影=北條芽以